<アマ強豪・鈴木肇さんに聞く>今あえて振り飛車!令和A級棋士の振り飛車に学ぶ。
はじめに
こんにちは。管理人のときんです。
AIの発達で、振り飛車が不利飛車と揶揄されるようになり早〇年。プロの世界の振り飛車はもう「終わった」戦法なのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
今またA級棋士の先生方が戦法の一つとして取り入れ、再び脚光を浴び始めています。
今回は、そんな現代振り飛車の魅力について、アマ強豪の鈴木肇さんに教えていただきました。
参考になる棋譜についても教えていただきましたので、それぞれの先生方の、個性あふれる振り飛車の世界をぜひ堪能してください!
鈴木 肇
元奨励会三段。将棋講師。第32期全国アマ王将、第72回全国アマ名人ほか、数々のアマ大会で優勝実績あり。
現在は主に「はじめ将棋教室」、「青葉はじめ将棋教室」、「両国将棋塾」講師として指導に当たる。 棋書執筆、漫画の棋譜監修、Youtuberなど多方面で活躍中。
はじめちゃんねる
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棋士中村太地はじめちゃんねる
囲いの工夫・豊島将之九段
最近、居飛車党の先生が振り飛車を採用されることがあり、驚かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
将棋ソフトの影響で序盤の先行争いが激しくなった昨今では、新しい世界を求めて振り飛車が注目されています。
最近では、豊島将之九段が振り飛車を採用されました。実は、このことに私はあまり驚きませんでした。
豊島将之九段には、昔からゴキゲン中飛車を指されるなど、器用な印象があったからです。
豊島先生は、「藤井聡太八冠戦での振り飛車が今後ポイントとなる」と考えているのではないか、と個人的には感じています。
先生の振り飛車戦は、最新のAIを駆使した工夫のほか、これまであまり陽の目を見なかった囲いを採用するなど、随所に独自の工夫を感じます。(例えば、木村美濃を変化させた囲いなど)
美濃囲いや振り飛車穴熊など、従来の振り飛車に多用された囲いに拘らず、近未来的な、バランスの良い振り飛車を指している印象です。
堅く囲ってカウンターを狙う振り飛車とは異なり、短期決戦も辞さない構えで、まさに「令和の振り飛車」のイメージそのものです。
特に後手番の新しい作戦として、豊島先生が振り飛車を好まれているようです。
王道の佐藤天彦九段
佐藤天彦九段は、代々伝わる大山康晴十五世名人の将棋の系譜で、受けを全く苦にしない、手厚い受けの振り飛車を得意にしています。少し昭和の匂いを感じる振り飛車です。
堂々とした将棋の王道を極める銀冠など立体的な囲いを好むイメージです。
立体的な囲いに組むメリットとしては、手厚く負けにくい、力を発揮しやすい点があります。
先生は近年から作戦の幅を広げつつあり、将棋の総合力で勝負していると感じています。
センスで勝負・菅井竜也八段
菅井竜也八段の振り飛車は、捌きのセンスや勝負への嗅覚が抜群で、終盤の難解な将棋の中で素早く一歩抜き出るのが上手な印象があります。
美濃囲い、振り飛車穴熊といったベーシックな囲いを採用し、常に王様の守りは堅く、攻め続け、「評価値を重視せずに自分を信じる将棋」を貫き通すところが誰にも真似できない菅井先生らしさです。
「藤井聡太八冠に振り飛車で勝つのは俺しかいない」という負けん気が凄く伝わってくる振り飛車の第一人者の先生です。
皆様はこれらの先生方の将棋について、どう感じますか?