今さら聞けない!藤井聡太二冠のスゴさを10個の数字で一挙紹介!

藤井聡太二冠が強すぎてヤバいらしい―――

これは多くの日本人が知っていることでしょう。

確かに、藤井二冠は強すぎてヤバいです。

しかし、将棋界は特殊な世界。

ニュースで藤井二冠の活躍をよく目にするけれど、具体的にはどうスゴイ棋士なのか?ということは実はよく分からない方も多いのではないかと思います。

そこで、本記事では「数字で知る藤井聡太二冠」として、藤井二冠が彗星のごとくデビューを飾ってから今日に至るまで達成した様々な記録を、10個の数字でご紹介していきたいと思います。

三段リーグ1期抜け

将棋のプロ棋士になるには、奨励会と呼ばれるプロ棋士の養成機関を卒業しなくてはなりません。

奨励会は入会するだけでもアマチュア四段~五段相当の棋力が求められます。(アマチュアの上位0.1%くらいとイメージして下さい)

そして、無事に奨励会に入会できても、同じような「天才少年・少女」たちと、お互いの人生をかけた勝負を重ねて、1つずつ上の級・段に登っていく必要があるのです。

その奨励会の最後の関門が「三段リーグ」。

30人以上いる三段の会員が、半年間で18回戦のリーグを戦い、上位2名だけが四段昇段(プロデビュー)の権利を得るという超超超狭き門です。

三段リーグを抜けるには、7~8期かかるケースが多く、中には15期以上在籍した方もいます。

そんな鬼門を、藤井三段(当時)はわずか1期で駆け抜けました。

三段に昇段したころには将棋ファンの間で相当に有名な存在になっていた藤井先生ですが、このプロデビューによって将棋界の外にもその名が知れ渡るようになります。

14歳2か月:最年少プロデビュー

こうして三段リーグを突破した藤井先生は、2016年10月1日付で四段昇段(プロデビュー)しました。

藤井先生は2002年7月19日生まれですから、プロデビュー時の年齢は14歳2か月。

2002年と言えば、将棋界では、森内俊之八段が丸山忠久名人(肩書はいずれも当時)を破り、初タイトルとなる名人を獲得してちょっと経った頃です。

その頃に誕生した人間が、既に将棋界のトップに君臨しているのです。

恐ろしすぎますね。

そして、14歳2か月でのプロデビューは、加藤一二三九段の14歳7か月を更新する最年少記録でした。

そもそも「中学生棋士」は、歴史上5人しかいません。

中学生でプロデビューした棋士
  • 加藤一二三九段(中3:14歳7か月)
  • 谷川浩司九段 (中2:14歳8か月)
  • 羽生善治九段 (中3:15歳2か月)
  • 渡辺明名人  (中3:15歳11か月)
  • 藤井聡太二冠 (中2:14歳2か月)

そうそうたる顔ぶれです。

デビューから年数の浅い藤井先生以外は、全員が名人のタイトルを獲得した経験があります。

中学生棋士の系譜を踏まえると、藤井先生が近い将来、将棋界の頂点である名人位につく可能性は高いと言えるでしょう。

62歳差のデビュー戦

かくしてプロデビューを飾った藤井先生のデビュー戦は、2016年12月24日のクリスマスイブに指された、第30期竜王戦ランキング6組1回戦。

相手は将棋界のレジェンド、加藤一二三九段。

76歳11か月の加藤九段と14歳5か月の藤井新四段の一戦、歳の差は実に62歳6か月。

他の競技の世界では考えられないことですね。

注目された一戦は、「将棋の純文学」と言われる矢倉戦法に。

加藤九段得意の重厚な攻めを受け止め、鋭く反撃に転じた藤井四段が見事勝ち切った一戦でした。

局後のインタビューでの藤井新四段のコメントが渋い。

長い持ち時間(注:奨励会の対局の持ち時間は90分だが、本局は5時間)を有効に使えました。加藤先生に教えてもらえるのは光栄だし、自分の力を出し切ることを考えていました。最後はなんとか勝ちになっていたようです。

出所:「藤井聡太全局集(平成28・29年度版)」

いつも思いますが、藤井先生のインタビューの受け答えは非常に落ち着いていますね。

1つ1つの言葉選び、応答の所作を含め、王道という印象を受けます。

デビュー戦から29連勝

これが一番有名な記録でしょうか。

デビュー戦の加藤一二三九段との対局に勝利したあと、何とそのまま公式戦29連勝を達成しました。

それまでの将棋界の連勝記録は、神谷広志八段が持っていた28連勝。

それを1つ更新する大偉業を、中学生にして成し遂げたのです。

さらに、特筆すべきは、この連勝記録が「デビュー戦からの」記録である点です。

デビュー戦からの連勝記録に限ると、藤井先生以前の記録は10連勝でした。(松本佳介先生・近藤正和先生が達成)

それを抜いた時点(11連勝)で、「うわ、この棋士ホントにヤバいな…」と若干引いていましたが、まさか歴代の連勝記録まで更新するとは思いませんでした。

29連勝中は、完勝した将棋ばかりではありませんでした。

特に、節目の20連勝目になった澤田真吾六段戦は、今見ても鳥肌が立つほどの大逆転でした。

権利の都合上、局面図を掲載することはできませんが、棋譜は「藤井聡太全局集(平成28・29年度版)」に収録されています。

将棋ファンの方にはぜひ並べてほしい1局です。

なお、藤井先生に連勝記録を抜かれた神谷先生が後日スポーツ紙に語ったコメントがとても素敵でしたので抜粋してご紹介します。

陸上でいうと、ウサイン・ボルトを超える存在がこれから出てくると思いますか? 将棋界でも少し前まで羽生(善治三冠)さんがそういった存在だった。羽生さんを超える者が出てこないというのが僕らの共通認識だった。でも、藤井さんには超える可能性を感じる。

僕のときもちょっと騒がれたんですけど、ホコリをかぶった骨董(こっとう)品のような記録が陽の目を見るのは藤井さんのおかげ。将来、天下獲るのは確定したようなもの。これからもっと頑張ってほしい。

(出所:SANSPO.COM

3ヵ月で段昇段

将棋のプロ棋士が段位を上げるのは容易ではありません。

しかし、藤井先生は四段→五段に昇段してからわずか3ヵ月の間に七段まで昇段しました。

将棋の世界で1年間に3つ昇段したのは藤井先生が初めて。

これも相当に破られない大記録です。

いかにして異例のスピード昇段を果たしたのかは、↓の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひ読んで下さい。

藤井聡太四段はなぜ3ヵ月で七段に?スピード昇段のワケを丁寧に解説!

朝日杯決勝、伝説の4四

藤井先生は、全棋士参加棋戦の1つである「朝日杯将棋オープン戦」を、初参加から2連覇しました。

特に、初優勝を果たした際は準決勝で羽生善治竜王(当時)を撃破。

決勝では、順位戦A級(将棋界最高峰のリーグ戦)に在籍する広瀬章人八段相手に、細そうな攻めを巧みに繋いで勝利。

決勝戦で放った▲4四桂は、解説の棋士も全く気づいていなかった歴史に残る名手となりました。

私も、リアルタイムで中継を見ていましたが「ファッ!?」となりました。

そして翌年の朝日杯も、決勝で渡辺明棋王を破り、見事に連覇を達成しました。

朝日杯は、持ち時間の短い「早指し」と呼ばれる棋戦で、一般的には若手が有利と言われてはいますが、まさかデビュー直後から連覇するとは思いませんでした。

観る将を長くやっている私も度肝を抜かれた記録です。

詰将棋解答選手権を小6で優勝、5連覇

将棋の世界には、詰将棋という、相手の玉を詰ます(追い詰める)パズルのようなものがあります。

藤井先生は、詰将棋の世界でも早くから名が知られていた存在でした。

プロ棋士やアマチュア強豪が、詰将棋を解くスピードと正確さを競う「詰将棋解答選手権」の最上位クラス「チャンピオン戦」を、藤井先生はわずか12歳(小学6年生)で優勝したのです。

そして、そのまま5連覇。

もう一度言いますが、詰将棋解答選手権はプロ棋士や奨励会員、アマチュア強豪が多く参加する大会です。

その中で、最も正確かつ早く手を読み、問題を解いたのが小学6年生の男の子だというわけです。

いかに規格外かが良く分かりますね。

なお、詰将棋解答選手権は過去問集が発売されています。

詰将棋を解いたことがある方はぜひチャレンジしてみて下さい。

こんなの何時間かかっても解けないよ!という絶望感に加えて、藤井先生の恐ろしさが体感できるはずです。

のVS相手、永瀬拓矢王座

プロ棋士の勉強法の1つとしてメジャーなのが、棋士同士で集まって将棋を指す「研究会」。

その中でも、1対1で行われる研究会のことを「VS(ブイエス)」と呼びます。

藤井先生が唯一、VSを行っている相手が、永瀬拓矢王座です。

参考 棋士紹介:永瀬拓矢王座日本将棋連盟Webサイト

永瀬王座は、将棋のプロ棋士の中でも群を抜いたストイックさで知られ「軍曹」と呼ばれている強豪棋士です。

そんな永瀬王座が、自ら藤井先生の住む愛知県に出向き、将棋の研究に明け暮れているのです。

いかに、藤井先生が特別な棋士であるかが分かるでしょう。

この2人はタイトル戦の挑戦者決定戦などの大舞台でも対戦しており、今後も良き仲間でありつつ、しのぎを削るライバル関係が続いていくことでしょう。

史上最年少のタイトル獲得~冠へ

そして2020年、時はやってきました。

第91期棋聖戦の挑戦者決定戦で、先の永瀬拓矢二冠(当時)を破り、初となる8大タイトルの挑戦を決めました。

そして、棋聖戦五番勝負では、渡辺明棋聖を相手に3勝1敗とし、初タイトルの棋聖位を獲得。

並行して行われた第61期王位戦七番勝負でも、木村一基王位を4勝0敗と圧倒し、最年少での二冠達成となりました。

その他の棋戦では敗退してしまい、高校生の間の三冠&九段昇段の可能性は消滅しましたが、今後もタイトル戦の常連として数十年に渡り将棋界に君臨し続けることは間違いないでしょう。

板谷進段の悲願、成就せり

現代でも、将棋の世界には師弟制度があります。

プロ棋士養成機関の奨励会に入る際に「師匠」を立てる必要があるのです。

藤井先生の師匠は杉本昌隆八段ですが、さらにその師匠は、東海地方での将棋普及に尽力した板谷進九段。

板谷九段は、東海地方での普及だけでなく、後進の育成にも精を上げた名棋士です。

板谷進一門からは、杉本八段・小林健二九段ら強豪棋士が多く誕生していますが、タイトルには手が届いていませんでした。

しかし、前述の通り、2020年度に棋聖・王位の二冠を獲得。

見事、板谷九段の悲願を成就させたのです。

藤井聡太先生のデビュー以来の記録を、数字とともにご紹介してまいりました。

これからも様々な記録を生み出していくこと間違いなしの藤井先生、その活躍からはひと時も目が離せませんね。

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