藤井聡太七段、連続昇級なるか?第79期B級2組順位戦の展望をお届け!

皆様こんにちは。
日本将棋連盟公認の将棋普及指導員をしております、きゃべ夫でございます。

4/27(月)に、日本将棋連盟Webサイト上で第79期順位戦の対戦表が公開されました。
対戦表はこちら

順位戦は、将棋界で最も伝統と格式のあるタイトル「名人」の座に繋がる棋戦です。
順位戦の基本的な仕組みは、こちらの記事で説明しておりますので、参考にして下さい。

今回は、「きゃべ夫式・順位戦展望」として、今期順位戦の昇級者の予想等についてお話ししたいと思います。

※本記事は、私個人の主観になりますことをご了承の上、読んでいただけますと幸いです。

なお、全クラスを1つの記事にまとめると情報量が多くなるので、いくつかの記事に分けてご説明します。

初回である今回は、藤井聡太七段が在籍することで最も注目度が高いであろう、「B級2組順位戦」についてお話します。

B級2組順位戦の特徴等

今期のB級2組(通称”B2″)で最も注目されているのは、藤井聡太七段が連続昇級となるか?でしょう。

その点には後ほど触れるとして、まずはB級2組の特徴や傾向をお話しします。

基本的な仕組み

基本的な仕組みは下図の通りで、今期は25名が在籍しています。

1人が10局指し、上位3名がB級1組に昇級します。
(今期の対戦表は、日本将棋連盟のこちらのページを参照して下さい)

藤井七段のような若手棋士だけでなく、A級順位戦や8大タイトルを経験した強豪棋士も多く在籍する厳しいクラスです。

近年では中堅~ベテランの活躍も目立つ

順位戦は、基本的には若手がどんどん上のクラスにのぼっていく棋戦なのですが、近年のB級2組に関しては、中堅~ベテラン棋士の活躍も目立ちます。

例えば、近年では以下の棋士がB級1組に昇級しています。

  • 丸山忠久九段(第78期-2019年度)
  • 畠山鎮七段(第76期-2017年度)
  • 野月浩貴八段(第76期-2017年度)
  • 飯島栄治七段(第74期-2015年度)

また、少し前の話になりますが、森けい二九段が59歳で昇級して大きな話題を集めたのもこのB級2組です(第64期-2005年度)。

なお、この年は内藤國雄九段(当時66歳)も最終戦まで自力昇級の目を残し、ベテラン棋士大活躍となりました。

後の一流棋士も苦戦

若手時代の羽生善治九段、森内俊之九段、佐藤康光九段も、かつてB級2組の厚い壁に阻まれており、実は全員1期目は昇級を逃しています。

それを下図に整理しました。

棋士名初参加1期目成績2期目成績
羽生善治九段第49期8勝2敗(4位)8勝2敗(1位)
森内俊之九段第51期9勝1敗(3位)8勝2敗(2位)
佐藤康光九段第52期6勝4敗(9位)8勝2敗(2位)

羽生善治九段は、B2初参加の第49期(1990年度)、何と連敗スタートとなりました。
その後8連勝したものの、順位が低いため昇級はなりませんでした。

森内俊之九段は、B2初参加の第51期(1992年度)、9勝1敗で惜しくも昇級を逃しています。

その1敗は、この期で降級した佐伯昌優八段に喫したもので、森内六段(当時)の順位戦連勝記録(26連勝)が途絶えました。

8連勝中の森内六段に、8連敗中の佐伯八段が勝った形で、ベテラン棋士の底力が発揮された将棋でした。

佐藤康光九段は、B2初参加の第52期(1993年度)に竜王を獲得していますが、順位戦では意外にも6勝4敗の成績に終わっています。

しかし、3人とも2期目にはきちんとB級1組への昇級を決め、そのままA級まで駆け上がっています。

今期から昇級枠が増加

ここまで読むと、若手が苦戦し、中堅が頑張っているリーグに見えますが、実は今期からB級2組は大きく制度が変わりました。

以前の記事でも紹介しましたが、昇級枠が2名→3名に増えたのです。

以前は、順位下位の棋士(C級1組から上がってきたばかりの棋士など)は、先の羽生九段・森内九段のように好成績を収めても順位の差で昇級できないというケースがよくありました。

しかし、昇級枠が増えたことで、下位の棋士のチャンスがより広がるものと考えます。

今期順位戦の展望(B級2組)

結論から言うと、藤井七段は今期のB2の昇級候補筆頭だと考えます。

当たりがきつい(=対戦相手が強い人ばかり)のでは?という見方もあるようですが、そんなことはありません。

B級2組となると誰と当たってもきついのです。

A級経験者の藤井猛九段、井上慶太九段、阿部隆八段との対戦が組まれていないことからも、特別に当たりが厳しい印象はありません。

上で書いた通り、後の一流棋士でも苦戦しがちなクラスではありますが、昇級枠が2名→3名に増えたことも考慮すると、藤井七段は昇級候補筆頭と言えると思います。

しかし、1回戦の佐々木勇気七段戦は、初戦にして最も大きな勝負どころになるでしょう。
藤井七段はC級1組の在籍1期目に、同じ若手棋士の近藤誠也五段(当時)に破れ、昇級を逃す苦しい思いをしました。

この1回戦を勝つことが非常に重要です。
ここを乗り越えれば、昇級に大きく近づくと言ってよいでしょう。

その他の昇級候補者についても、個人的な主観ですが、何名か挙げさせていただきます。

佐々木勇気七段(25)

「藤井聡太四段(当時)の29連勝をストップした男」として一躍有名になった棋士ですが、佐々木七段自身も、16歳でプロデビューした天才です。

C級1組を6期目で突破しましたが、才能を考えると遅いくらいです。
その鬱憤を晴らすかのごとく、連続昇級を狙いたいところです。

澤田真吾六段(28)

在籍6期目で、過去に負け越しは無く安定した成績を収めています。
今期は順位も良く(4位)、昇級する可能性は十分あると考えます。

杉本昌隆八段(51)

2年前、弟子の藤井聡太七段を抑えてC級1組からB級2組に昇級したことを覚えている将棋ファンの方も多いでしょう。

今回、また藤井七段と同じクラスになったことが刺激となり、星を伸ばす可能性は十分にあります。

観る将的にも、また杉本八段・藤井七段の昇級争いを見てみたいものです。

また、B級2組以下の順位戦では、師弟戦(師匠と弟子の対局)は組まれないルールになっているため、絶対に藤井七段と当たらないというのも1つプラスの材料です笑

なお、杉本八段については過去に本ブログで、特集記事も書いておりますのでこちらもあわせてご覧下さい!


おわりに

今期順位戦展望のうち、B級2組について見ていきました。
読者の皆様の将棋観戦が、より楽しくなっていれば幸いです。

引き続き、順位戦展望シリーズとして他のクラスについても記事にしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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