話題の「リコー将棋AI棋譜記録システム」を体験!将棋界の働き方改革の救世主になるか?

こんにちは。

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。

先日、加藤桃子女流のあるツイートが話題になりました。

棋士や女流棋士の対局には、必ず「記録係」がつきます。

「記録係」とは、棋譜(指し手)の記録や消費時間の計測・秒読みなどを行う人のことで、持ち時間の長い棋戦だと深夜まで働かなければなりません。

従来、奨励会員や女流棋士が記録係を務めてきましたが、対局数の増加、進学する奨励会員の増加、修行に対する考え方の変化などを受け、慢性的な人手不足状態にあります。

さらに、コロナ禍の影響で奨励会が休会し、奨励会員による記録も一時ストップとなったことで事態が深刻化。

一部の女流棋士が高稼働で記録係を担当する状況になっていたとのことです。

私の記事では状況の説明に留めますが、記録係の負荷は大きく、省力化・自動化に向けた取り組みは必要であると言えるでしょう。

もちろん、日本将棋連盟も記録係の負荷を課題として認識しており、改善に向けた取り組みを行っています。

その筆頭が、株式会社リコーと日本将棋連盟が共同開発している「リコー将棋AI棋譜記録システム」(以下、リコー棋録)」です。

日本将棋連盟の「リコー将棋AI棋譜記録システム」が第10期リコー杯女流王座戦一次予選で本稼働 ~棋譜の記録を無人化し、新…

今回、その「リコー棋録」を体験してきましたので、使ってみた感想をお届けしたいと思います!

リコー棋録とは?

リコー棋録は、株式会社リコー(将棋部は日本屈指の強豪チームとして有名)が開発したものです。

すごく簡単に説明すると、カメラで撮影した盤面の映像をAIで解析し、棋譜を生成するシステムです。

これにより、「対局者が1手指すごとに記録係が棋譜用紙に指し手を記入する」という作業をコンピューターに置き換えることができるのです。

2019年のリコー杯女流王座戦で実証実験が行われ、今年度から本格運用が検討されています。

執筆時点(2020年6月15日)ではプロ棋戦での本格運用は始まっていないものの、一部の将棋道場などでは「リコー棋録」が導入され、その技術を体験できるようになっています。

そこで、リコー棋録をいち早く導入した、福岡市のQTnet将棋センターにお邪魔してきました。

これがリコー棋録だ!

全体写真

これがリコー棋録の全体写真です。

 

香ちゃん
盤面の真上から撮影するカメラ、プロの対局みたいでかっこいいワ!
将棋盤の真上にカメラがありますね。これで盤面の映像を撮影します。
カメラは思ったよりもかなりコンパクトでした。
奥のパソコンには、指し手を追う形で盤面と棋譜が作られていきます。
また、この画像には写っておりませんが、机の下にセンサーのような機具も取り付けてありました。

棋譜生成の様子

開始ボタンを押して少し待つと、画面に「対局中」との文字が表示され、棋譜が記録できるようになります。
実際に途中まで将棋を指してみたのですが・・・
すごい!!!
指し手に合わせて棋譜が生成されていきます。
左が実際に利用者の方が指した局面、右がそれに合わせて生成された局面図と棋譜です。
棋譜は印刷することもできます。
また、KIF形式での保存もできるので、お手持ちの将棋ソフトで解析したり、綺麗な棋譜用紙に印刷することも簡単にできます。
きゃべ夫
子どもの頃、手書きで棋譜を残していた私からすると感動モンです。

気になるポイントも検証!

ただ、どのような対局でも正しく記録できるのか?という点は多くの方が気になるところでしょう。
ということで、下の2つのポイントも検証してみました。

検証①糸谷八段ばりに早指しをしても大丈夫?

両者ともに極端な早指しでなければ、正しく記録できます

アマチュアだと、相手の手が引っ込むのと同時くらいに次の手を指してしまう方もいます。

そうした「即指し」にも対応できるのか確認したところ、お互いが1秒以内くらいで手を指し続けてしまうと、システムが追いつけずに正しく棋譜が記録されないことがあるようです。

基本的な使用シーンが、プロ棋戦やアマの主要大会での記録であれば、両者が極端な早指しをするケースは少ないので、特に問題無いでしょう。

お子様同士の超スピード対局には若干厳しいのかもしれません。

検証②加藤九段ばりに前のめりになっても大丈夫?

かなり前傾しましたが記録できました

将棋で集中してくると前傾姿勢になってくる、というのはプロアマ問わずあるでしょう。

では、ひふみんこと加藤一二三九段ばりに前傾しても大丈夫なのでしょうか。

私がかなり頑張って前傾しましたが、普通に記録できていました。

終始、盤面を覆い続けるほど前傾することもないでしょうから、通常の対局姿勢の範囲であれば対応できる、という印象でした。

おわりに

使ってみた感想としては「かがくのちからってスゲー!」でした。

両者が極端な早指しをせず、普通に将棋を指す限りは、問題無く棋譜が記録できるように思いました。

プロ棋戦で投入するためには、もろもろの検証を経ないといけないのでしょうが、記録係問題の解決、そして将棋界の働き方改革を十分実現しうる素晴らしい技術だと感じました。

将棋教室や道場で生徒さんの棋譜を記録・管理するのにも役立つと思います。

ぜひ、近くでリコー棋録に触れる機会がある方は一度体験してみることをおすすめします!

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