将棋には「千日手」と呼ばれる特殊ルールがあります。
この記事では、千日手のルールや、千日手が多い棋士を紹介します。
[box class="box26" title=こんな方に読んでほしい]
- 将棋のルールを覚えている途中の方
- 「この対局は千日手になりました!」というニュースを見て「千日手・・・?」となった方
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千日手とは
千日手(せんにちて)とは、一言でいうと「このままだと永遠に終わらないから引き分けにしましょう」というルールです。
例を示します。
先手(手前側)は、飛車で後手(奥側)の金を取ろうとしています。(1番)
大事な金を取られたくないので、後手は金を逃げます。(2番)
先手は金が欲しいので、飛車を1つ引いて、次に金を取ろうとします。(3番)
大事な金を取られたくないので、後手は金を逃げます。(4番)
先手は金が欲しいので、飛車を1つ進めて、次に金を取ろうとします。(5番)
・・・
ここでよく見てください。
5番と1番は全く同じ図です。
1番に戻ったら、また後手は金を逃げて2番の図になります。
つまり、上の図では、飛車と金の追いかけっこで、1番から5番の手順を永遠にループしてしまうのです。
これでは1,000日続けても勝敗はつきません。
だから「千日手」というのです。
現在の日本将棋連盟の公式ルールでは、「同じ局面が4回出現したら千日手と判定する」としています。
プロの公式戦では、およそ2%ほどの確率で千日手が出現するそうです。
だから、タイトルなどの大舞台で出現すると珍しくてニュースになるんですね。
千日手は、
- 自分の大駒(飛車・角)と相手の駒の追いかけっこ(上の例)
- お互いの金銀の打ち合い
などが多いケースです。
千日手が起こるとどうなる?
プロの公式戦で千日手が起こると、勝負はやり直しになります。
棋戦(大会)によってルールが違いますが、ざっくり説明すると、
- そこまで遅い時間じゃなければその日にやり直し
- 遅い時間だったら、別の日にやり直し
となります。
ちなみに、やり直しのさいは、先手と後手を入れ替えます。
将棋のプロの世界では、少しだけ先手が有利(先手が52%くらい勝つ)なので、不公平にならないように先手と後手を入れ替えるのです。
アマチュアの大会などでも、先手と後手を入れ替えることがほとんどです。
千日手が多い棋士は?
プロの中には、千日手を嫌う方もいます。
特に、自分が先手の時は千日手にしたくない(やり直しのときに不利な後手になるからいや)と考える方は多いです。
そんなプロの中でも、1人、ずば抜けて千日手になる確率が高い棋士がいます。
永瀬拓矢先生です。
2019年時点で、千日手になった将棋の割合は約8%。
他の棋士の4倍以上も千日手率が高いのです。
千日手を1つの作戦として考えていることが大きな理由ですが、詳しく知りたい方はこちらのインタビュー記事をご覧下さい。
反則負けになるケースも
これまで説明したとおり、千日手は原則として引き分けになります。
しかし、1つだけ反則負けになるケースがあります。
それは「連続王手の千日手」です。
上で紹介した例を見返して下さい。
例では「飛車と金の追いかけっこ」でしたね。
これが、仮に「飛車と王の追いかけっこ」になってしまうとダメなのです。
先に追いかけ始めた先手の方から手を変えないと反則負けになります。
実戦で現れることは多くないですが、将棋を指している方であれば、押さえておきたい基本ルールです。
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今回は、将棋のルールの1つ「千日手」を解説しました。