こんにちは。
日本将棋連盟公認、「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。
アマチュア級位者の私の生徒さんの将棋を題材に、アマチュア初段を目指す上で重要な、「ミスを減らすためのポイント」をご紹介する「実戦ワンポイント!」。
第16回のテーマは、序盤の角交換。
級位者の方の将棋で序盤早々に角交換が行われると、形勢がすぐに一方に傾いてしまうことが多いです。
今回から数回にわたり、序盤で現れがちな「角の技」を中心に解説します。
本連載の趣旨や、生徒さんのプロフィールについては、こちらの記事をご覧ください。

両成りを食らわないように注意!
第1図はJさん(将棋ウォーズ2級;後手番)の実戦から。
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角と進んだ局面です。
第1図(△3三角まで)
△3三角は少し変わった手にも見えますが、「4手目△3三角戦法」として、プロの間でも一時期流行した戦法です。
第1図からの指し手
▲4八銀△4二飛▲3三角成△同桂(第2図)
第2図(△3三同桂まで)
後手が四間飛車に構えた手に対し、先手から角交換を行いました。
同桂と応じた第2図。
もう少し、実戦の進行を見ていきましょう。
第2図以下の指し手
▲8八銀△3五歩(第3図)
第3図(△3五歩まで)

先手は▲8八銀と上がりましたが、そこでJさんが△3五歩としたのが危険な一手でした。
第3図では先手に好手があります。
少し考えてみてください。
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第3図では、▲5六角(第4図)と打つ手が好手です。
第4図(▲5六角まで)
この▲5六角は、次に▲2三角成または▲8三角成と二か所で馬を作る手を狙っています。
将棋はお互いに一手ずつしか手を指せませんので、後手は2三・8三の地点をいっぺんに守ることができません。
例えば、△3二金のように2三を守ろうとすれば▲8三角成、△7二銀のように8三を守ろうとすれば▲2三角成と、いずれにしても先手だけ馬を作ることができます。
一方的に馬を作る&一歩得はかなり大きな得です。
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なお、第4図で△4五角(第5図)と打ち返す手が見えた方もいるかもしれません。
第5図(△4五角まで)

これは、▲8三角成と先手が馬を作れば、後手も△6七角成(第6図)とし、馬を作り合おうという意図の手です。
第6図(△6七角成まで)

しかし、こう都合よくは進みません。
第5図から、▲4五同角△同桂▲4六歩(第7図)とされると、前回の講座で説明したような「桂馬の高飛び歩の餌食」になってしまいます。
第7図(▲4六歩まで)
有段者同士の将棋なら、ここで△5五角と打って微妙な形勢になりますが、級位者の方の将棋では桂馬を取れそうな先手の方が指しやすい形勢でしょう。
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今回は以上です。
次回は、第1図の周辺をもう少し掘り下げて解説します。
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少し形が違うだけで、どちらが良い局面なのかの結論が変わってきますので、局面をよく見比べながら読んでいただけると嬉しいです。
盤面の画像だけでは分かりにくい場合は、ぜひ盤駒を動かしながら読んで下さい。
それでは、また次回もよろしくお願いいたします。