こんにちは。
日本将棋連盟公認、「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。
アマチュア級位者の私の生徒さんの将棋を題材に、アマチュア初段を目指す上で重要な、「ミスを減らすためのポイント」をご紹介する「実戦ワンポイント!」。
第17回のテーマは、前回に引き続き序盤の角交換。
今回は少々ややこしい内容になりますが、様々な戦型に応用できる基本知識なので、ぜひ身に付けて下さい。
本連載の趣旨や、生徒さんのプロフィールについては、こちらの記事をご覧ください。
[kanren id=2852]
また、本記事は第16回を読んでからお読みいただくと、より理解が進むと思います。
あわせてご覧下さい。
[sitecard subtitle=関連記事 url=onepoint-16]
△4四角の反撃
まずは前回の振り返りから。
第1図(△3三同桂まで)

後手のJさんが4手目△3三角戦法を採用した第1図から、▲8八銀△3五歩▲5六角(第2図)と進んで、8三・2三の「両成り」が受からず先手が指しやすい形勢となりました。
第2図(▲5六角まで)

今回は、この角打ちのタイミングを少しずらしたときの攻防を考えてみようと思います。
まずは、第1図(△3三同桂と跳ねた局面)ですぐに▲5六角と打つ手(第3図)を考えてみましょう。
第3図(▲5六角まで)
これも、第2図と同じように▲8三角成と馬を作る手と、▲3四角と歩を取る手を狙った「両狙い」の手に見えます。
しかし、第2図と第3図は状況が大きく異なる局面で、第3図の場合は後手に返し技があります。
少し考えてみましょう。
◆
◆
◆
第3図では、後手から△4四角(第4図)と打ち返す手があります。
第4図(△4四角まで)
これで、先手は9九の香車取りを守るのが難しくなります。
▲8三角成△9九角成と馬を作り合う手は、香車を取れる分、後手が有利です。
また、▲9八香と逃げても、△9九角成(第5図)と成られると、先手は9八の香車と8九の桂馬を両方守る手が無い(=どちらかは必ず後手に取られてしまう)ため、先手がダメです。
第5図(▲4六歩まで)

第4図の△4四角のように「単純な香車取りが受かりにくい」角打ちには、打たれないように・逃さないように気を付けましょう。
反撃がうまくいかないケース
しかし、第4図の△4四角は、微妙な形の違いでうまくいかないときがあります。
イマイチうまくいかないケースを2つご紹介します。
まずは、第2図の局面で△4四角と打った場合。
再掲第2図(▲5六角まで)

これは、▲7七銀(第6図)と上がられると9九の香車は取れず、後手の反撃は失敗です。
ポイントは先手の銀の位置で、先手の銀が8八に上がっている形での△4四角は基本的に成立しません。
第6図(▲7七銀まで)

また、第4図の局面で、仮にお互いに9筋の端歩を突き合っていた場合。
この場合は、△4四角に対して▲9八香ではなく▲9七香(第7図)とかわす手が生じます。
第7図(▲9七香まで)
この場合は、同じように△9九角成としても▲7八銀(第8図)と上がれば、先手は香車も桂馬も守ることができます。
きゃべ夫
第8図では、先手の駒が何も取られない局面ですね。
これは、ゴキゲン中飛車に対する居飛車の対策の1つである「丸山ワクチン」などにも現れる変化です。
今回は以上です。
△4四角のような「単純に香車を狙う手」による反撃がうまくいくケースと、あまりうまくいかないケースについて紹介しました。
微妙な形の違いにより結論が変わるのが、将棋の楽しいところでもあり、難しいところでもあります。
ぜひ盤面図を見比べながら、または実際にお手持ちの盤駒を動かしながら、復習していただければ幸いです。
次回は振り飛車必見の手筋。
ぜひ↓もあわせてご覧下さい。
[sitecard subtitle=関連記事 url=onepoint-18]