アマチュア級位者の私の生徒さんの将棋を題材に、アマチュア初段を目指す上で重要な、「ミスを減らすためのポイント」をご紹介する「実戦ワンポイント!」。
本連載の趣旨や、生徒さんのプロフィールについてはこちらの記事をご覧ください。
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第1図はJさん(将棋ウォーズ2級;先手番)の実戦より。
第1図(△3九角まで)
相掛かりの出だしからの中盤戦、駒が色々とぶつかっており複雑な局面です。
整理すると、
[list class="li-niku li-mainbdr main-c-before"]
- 先手の▲2四歩が、後手の△2三銀の取りになっている
- 後手の△3三桂が、先手の▲2五桂の取りになっている(ただし、△3三桂が移動すると、先手は▲1一角成と後手の香車を取れる)
- 後手の△3九角が、先手の▲2八飛の取りになっている
- 先手は▲3八飛と寄れば後手の△3九角を取ることができる
[/list]
文字に起こしてみると、結構複雑な状況ですね。
もちろん、実戦を指している最中にこんなメモを起こすことはできませんので、頭の中で整理しないといけないということです。
このような局面でのポイントは「駒の損得だけで考えず、駒の働きや攻めの速度を考える」ことです。
× 良くない例:駒の損得だけで考える
第1図からの指し手
▲3八飛(第2図)△2五桂▲3九飛△2四飛(第3図)
第2図(▲3八飛まで)
第3図(△2四飛まで)
単純に駒の損得だけを考えるのなら、▲3八飛と寄りたくなるところです。
これで、後手の角を確実に取ることができます。
仮に、角を取ることにこだわって指すと、第3図のように進む可能性があります。
第3図は、駒の損得では先手が得(角と銀の交換)ですが、飛車の働きが大差です。
▲1一角成と香を取れば先手が良い局面ではありますが、▲3九飛の働きが悪いです。
また、後手玉にも先手の攻めが迫っておらず、なんだかすっきりしません。
手順中、「▲3九飛と取る前に、一度▲2三歩成と銀が取れるのでは?」と感じた方は、局面が広く見えています。
3九の角はいつでも取れる駒なので、その前に得な手をたくさん指してから取る方が良いですね。
[memo title="POINT"]
駒がたくさんぶつかり、局面が複雑化したときこそ読みが大事。
3手先でも良いので、先に進んだ局面をイメージし、読みの三要素(駒の損得・玉の堅さ・駒の効率)でその局面がどのくらい有利/不利なのかを考える癖をつけることが上達に繋がります。
また、いつでも取れる駒をすぐには取らず「もっと得できないか?」を考えることも非常に重要です。
[/memo]
なお、実戦で、Jさんは▲2七飛(第4図)と逃げました。
第4図(▲2七飛まで)
飛車が働く分、▲3八飛よりは勝りますが、後手に△1二銀と引かれると、やや攻めが遅くなる展開になってしまいました。
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第1図は複雑な局面ですが、もっと先手がリードできる順がありそうです。
次回は、第1図での修正案をご紹介します。
ぜひ、考えてみてください。