こんにちは、将棋普及指導員のきゃべ夫と申します。
将棋のプロ棋士が、通常「段位」でよばれていることは、多くの方が知っていると思います。
羽生善治九段とか、藤井聡太七段といった、棋士の名前の後につく肩書が「段位」です。
しかし、将棋を観始めたばかりの方にとって、プロ棋士の「段位」の仕組みはよく分からないものだと思います。
- プロ棋士には何段から何段まであるのか?
- どうすれば上の段に上がるのか?
- 藤井聡太七段が八段に上がるのはいつなのか?
このような疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はプロ棋士の段位の仕組みをご説明します。
なお、アマチュアの将棋の腕前を表す「段や級」の仕組みは、↓の記事で詳しくご紹介してますので、あわせてご覧ください。
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もくじ
プロ棋士の段位は四段~九段
将棋の世界では、プロ棋士の育成機関にあたる「奨励会」を卒業し「四段」に昇段すると、プロ棋士として「棋戦」に出場できるようになります。
賞金や対局料等の収入を安定的に得られるようになるのも「四段」からです。
そして、公式戦で一定の成績を収めたり、勝星が一定数に達すると「五段」、「六段」、…と昇段していきます。
プロ棋士の段位の最高は九段です。
ちなみに、プロ棋士の段位は一度到達すると下がることはありません。
また、プロ棋士育成機関である奨励会の一番下の級は「6級」ですが、アマチュアの棋力に換算するとおよそ三段~五段程度と言われています。
プロ棋士はとてつもなく強いということです。
段位="現在の実力"ではない
将棋の世界をまだよく知らない方には、「四段」と「九段」だと圧倒的に「九段」の方が強く、勝つのが当然と感じる方も多くいらっしゃるようです。
藤井聡太七段が四段時代に公式戦で29連勝したことが連日報道されていた際、「四段の少年に八段、九段の棋士が負けるものなのか?」というようなことを言ったコメンテーターもいました。
よく間違えられがちなのですが、段位はその棋士の「現在の実力」を示したものではありません。
どちらかと言うと、段位は「これまでその棋士が積み上げた実績を示すもの」という解釈の方が正しいです。
九段にまで昇段するような棋士はもちろん強いのですが、だからといって四段の若手棋士に大幅に勝ち越せるというわけではありません。
特に、藤井七段のような規格外の新人との対戦の場合、段位はほとんど意味を成しません。
プロ棋士の昇段の仕組み
上で見た通り、プロ棋士の段位は「四段」から「九段」まであるのですが、それではどのような成績を上げると上の段に昇段できるのでしょうか?
2020年4月時点での昇段規定を1つの表にまとめると下図のようになります。
おおまかに説明すると、竜王戦・名人戦(順位戦)をはじめとした8大タイトル戦や、全棋士参加棋戦(朝日杯、NHK杯、銀河戦等)で活躍することや、勝星を重ねて規定の勝数に達することが昇段の条件となります。
ポイント1. 昇段規定は以前より緩和されている
それでももちろん昇段するのは大変なことには変わりませんが…。
ポイント2. "飛び段"や、1年で二段以上の昇段も可能
(竜王戦に限っては、この数年前から1年で二段以上の昇段が認められていました)
ポイント3. 昇段日付は「条件を満たした日」
上で述べた昇段の条件を満たすと、基本的に、満たした日付で昇段します。
当たり前に聞こえますが、これも2009年の昇段規定改定で緩和された部分です。
それ以前は、順位戦の昇級により昇段した場合は翌年度の4月1日が昇段日付だったのです。
おわりに
プロ棋士の段位の仕組み、昇段ルール等について一通り基本的なことを解説させていただきました。
昇段のルールを知ると、推しの棋士がどの棋戦で勝てば昇段するのかが分かるようになり、より将棋観戦が楽しくなります!
次回は、近年の昇段規定の変更内容がよく分かる事例として、屋敷伸之九段・藤井聡太七段の昇段履歴をサンプルに、詳しく解説していきます。お楽しみにして下さい!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。