【2020.7.7更新】奨励会の仕組みと入会試験について

皆様こんにちは。

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。

以前の記事でもご紹介しましたが、将棋のプロ棋士になるためには、プロ棋士の育成機関である「奨励会」を卒業する必要があります。

現在、トップ棋士として活躍している羽生善治九段や藤井聡太七段も、「奨励会」を卒業しています。

今回は「奨励会」の段級の仕組みと、入会方法についてご紹介していきます。

奨励会とは?

奨励会は、正式名称を「公益社団法人日本将棋連盟付属新進棋士奨励会」といい、プロ棋士の養成を目的としている機関です。

扇子くん
長い!!
きゃべ夫
誰も正式名称では読んでいないから大丈夫。
みんな「奨励会」と呼ばれている。

奨励会には、基本的に6級から三段までの段級があり、2020年4月時点では約180名が在籍しています。

下図は、2020年4月時点の各段級の所属人数をまとめたものです。



なお、ここでいう「6級」とはあくまでプロ棋士の段級の基準です。
将棋ウォーズや将棋倶楽部24、町の道場の6級とは違います。

奨励会6級は、アマチュアの棋力に置きかえると最低でも三~四段相当となり、奨励会に入会するだけでも相当な実力が必要です。

なお、将棋ソフトの普及などでプロ・アマ問わず将棋界のレベルは底上げされています。

奨励会に合格するハードルもかなり上がっており、現状ではアマ五~六段相当は必要(将棋連盟道場などの基準で)との指摘もあります。

プロとアマの段級の違いについては、以下の記事で詳しくまとめておりますので、あわせてご覧下さい。

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入会後、規定の成績を収めると段級が上がり(下がることもある)、原則として年間4名がプロ棋士としてデビューします。非常に狭き門です。

なお、奨励会は二段までは関東・関西の2つに分かれており、基本的には同じ地域に所属する会員同士で対戦します。

しかし、三段に昇段すると東西が一緒になり、「三段リーグ」に所属します。
この「三段リーグ」の成績優秀者が、四段に昇段して正式にプロデビューとなります。

入会方法

奨励会に入会する方法は、大きく4つです。

  • 1. 級位者入会試験
  • 2. 研修会からの編入
  • 3. 有段者編入試験
  • 4. 三段リーグ編入試験

順に、簡単に説明していきます。

1. 級位者入会試験

最も一般的な入会方法で、毎年8月に行われる試験に合格して入会するルートです。

受験できるのは満19歳以下で、プロ棋士から推薦を受けた(=師匠を立てた)者です。

以前は、師匠を立てなくても受験することが可能でしたが、現在は奨励会の受験時に師匠の推薦が必須になっています。

また、年齢により受験可能な級が変わります。

満15歳以下であれば、一番下の6級で受験が可能ですが、年齢が上がると、受験できる級も上がっていきます(満18歳以上だと1級しか受けられません)

入会年齢は11~14歳あたりが多いです。

次の記事で詳しく説明しますが、奨励会には一定の年齢までに初段・四段に到達しないと強制的に退会となる「年齢制限」があります。

そのため、基本的には入会は早い方が良いです。

奨励会に入会したこどもは、10代前半にして、自分の誕生日が1年で一番嬉しくない日になるのです(歳をとることは、奨励会員としての寿命が縮まることを意味するため)

受験料や申込手続きなどの詳細は、日本将棋連盟HPの受験案内をご参照下さい。

日本将棋連盟の2020年度奨励会入会試験のご案内のページです。日本将棋連盟は伝統文化としての将棋の普及発展と技術向上や将…

試験は、「一次試験」⇒「二次試験」の二段階で行われます。

一次試験

筆記試験と対局試験があります。

筆記試験は、次の一手問題や、将棋界の簡単な知識を問う問題(タイトル名やタイトル保持者を漢字で書かせる等)が過去に出題されています。

普段から、将棋世界や日本将棋連盟のWebサイトで将棋界の動向に目を通していれば、そこまで難しくはない印象です。

また、次の一手問題の過去問も見たことはありますが、次の一手本のアマ三段~四段クラスの問題と同程度のレベルかなと感じます。

奨励会を受験するお子様の棋力であれば、特別な対策は不要な気もしますが、きちんと対策を取りたいという方は、以下の本がオススメです。

四段の終盤

逆転の妙手 上級編

対局試験では、受験者同士で1人6局対局し、3~4勝以上で合格です。(年により若干の変動があり、一次試験の合格者数は、受験者数全体の4割弱程度になります)

※2020年度奨励会入会試験は、1日目に2局、2日目に3局の計5局となるようです。受験者数にもよりますが、一次試験の通過ラインは3~4勝程度が予想されます。

なお、以下の条件に該当する受験者は、一次試験が免除されます。

  • 小学生名人戦、倉敷王将戦(高学年の部)の全国大会優勝者
  • 中学生名人戦、中学選抜、中学生王将戦の全国大会優勝者
  • 研修会B1クラス以上、かつ15歳以下

※2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、例年は一次試験の免除対象となる大会の一部が取りやめになっています。ご注意ください。

二次試験

一次試験の合格者は、現役の奨励会員と対局します。
3局指し、1局でも勝てば合格です。

対局の他に面接試験もありますが、基本的に面接で落ちることは無いようです。

まとめると、おおよそ受験者の2~3割程度が試験に合格し、奨励会に入会しているようです。

2. 研修会からの編入

奨励会の下部組織としての役割ももつ「研修会」から編入するルートで、1. 級位者入会試験と並んでメジャーな入会方法です。

研修会は、上から順に、S・A・B、…Fクラスまでで構成されていますが、15歳以下で「A2」に到達すると、奨励会6級に編入することができます。

また、更に高い「S」クラスに18歳以下で到達した場合も、同様に奨励会6級に編入できます。

きゃべ夫
ちなみに、女流棋士になるための条件は「研修会B2」クラスへの昇級です。
扇子くん
女流棋士になる資格を得るよりも、奨励会に編入するハードルの方が高いということなんですね…あわわ

3. 初段受験

満22歳以下で、アマチュアの主要大会や学生大会で、全国優勝または準優勝すると、奨励会の「初段」を受験する権利を得ます。

ただ、この制度を利用して奨励会を受験する人はあまりいないのが現状です。

例えば、中学生~高校生くらいのアマチュア選手が、アマ竜王戦などの大きな大会で優勝 or 準優勝した場合などは有効に活用できるかもしれません。

4. 三段リーグ編入試験

最後は、初段より更に高く、プロ入り一歩手前の三段リーグから編入できる試験制度です。

過去1年間のアマ6棋戦(アマ竜王戦、アマ名人戦、アマ王将戦、支部名人戦、赤旗アマ名人戦、朝日アマ名人戦)の優勝者にのみ受験資格が与えられる試験です。

合格すると、4期(2年)の間、三段リーグに所属することができます。

こちらは過去に11人がチャレンジしていますが、合格したのは2007年の今泉健司さん(現四段)のみです。

今泉さんも、そのときには三段リーグを勝ち抜けず、それから更にアマ大会で実績を重ねて、プロ編入試験を経てプロデビューしています。

おわりに

今回は奨励会とはどのような組織であるのか、および入会の方法について紹介してまいりました。

毎年7月初旬ごろに、その年の奨励会試験の案内が日本将棋連盟Webサイト上に掲示されますので、詳しい試験の実施要項などは、そちらをご覧ください。

奨励会入会後の昇級・降級の仕組みや、年齢制限については、こちらの記事に詳しく書いておりますので、あわせてご覧下さい。

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