将棋界の仕組み

【2021年4月更新】奨励会の仕組みと入会試験について

 

将棋の「奨励会」ってどんな場所?入会するのはどれくらい難しいの?

 

こんな疑問にお答えします。

 

本記事の内容

  • 奨励会とは?
  • 奨励会の入会方法・試験内容

 

本記事の執筆者

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将棋を指すこと、観ることに関するさまざまな知識を、分かりやすくお届けします!

 

この記事を読めば、奨励会の仕組みがよく分かりますよ!

 

奨励会とは?

 

奨励会は、正式名称を「公益社団法人日本将棋連盟付属新進棋士奨励会」といいます。

きゃべ夫
略して「奨励会」が通称です。

 

 

奨励会について最初におさえておきたいポイントは以下です。

 

  • 奨励会は、プロ棋士の養成機関
  • 関東・関西の2か所があり、およそ200名の奨励会員が在籍している
  • 6級~三段までの段級があり、月2回の例会の成績で上下する
  • 三段になったら「三段リーグ」に参加。上位の成績をおさめるとプロ入り
  • 年齢制限をクリアできないと強制退会となる

 

それぞれについてくわしく解説します。

 

プロ棋士の養成機関

 

奨励会は、プロ棋士を養成するために設置されている機関です。

 

全国から天才と呼ばれる少年少女が結集し、己の人生をかけて戦う場所です。

 

一方、奨励会の下部組織にあたる「研修会」は、将棋を通じた青少年の育成を目的とした機関です。

必ずしもプロを目指す人だけが集まっているわけではないのが特徴です。

 

研修会についてはこちらの記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。

 

将棋の「研修会」の棋力レベル・入会方法・費用を解説

続きを見る

 

奨励会は関東・関西の2か所。200名弱の奨励会員が在籍

 

奨励会は関東奨励会・関西奨励会の2か所があり、200名弱の奨励会員が在籍しています。

 

月に2回の例会の日にあわせて、東京または大阪の将棋会館に足を運ぶ必要があります。

九州・沖縄や北海道などの地方から参加する奨励会員は本当に大変です。

 

6級~三段までの段級があり、月2回の例会の成績で上下する

 

奨励会は、6級~三段までの段級があります。

 

2020年4月時点の各段位の人数構成は下の図の通りです。

 

 

なお、ここでいう「6級」とはあくまでプロ棋士の段級の基準です。

 

奨励会のレベルは、最低の6級でもアマチュア四~五段程度と言われており、入会するだけでも相当な実力が必要です。

 

将棋倶楽部24なら2,300点、将棋ウォーズなら五~六段の棋力は必要です。

 

プロとアマの段級の違いについては、以下の記事で詳しくまとめておりますので、あわせてご覧下さい。

アマチュアの段位・級位の仕組みと取得方法を解説

続きを見る

 

奨励会に入会すると、月に2回の「例会」に参加します。

例会で他の奨励会員と対局し、規定の成績を収めると段級が上がります。(下がることもある)

 

参考:奨励会の昇級規定

初段~三段へ:8連勝、12勝4敗、14勝5敗、16勝6敗、18勝7敗

6~1級へ:6連勝、9勝3敗、11勝4敗、13勝5敗、15勝6敗

 

三段になったら「三段リーグ」に参加。上位の成績をおさめるとプロ入り

 

入会後に勝利を重ね三段まで昇段すると、関東・関西が一緒になり「三段リーグ」というリーグ戦に参加することになります。

 

三段リーグは半年サイクルで行われる全18回戦のリーグ戦。

 

そこで1位・2位の成績をおさめると四段に昇段し、晴れてプロデビューとなります。

 

三段リーグについては、こちらの記事も参考にしてください。

 

 

年齢制限をクリアできないと強制退会となる

 

奨励会には年齢制限があります。

 

具体的には、以下のどちらかに該当した場合には強制的に退会となります。

 

  • 満21歳の誕生日までに初段になれなかった場合
  • 満26歳の誕生日を含む三段リーグで四段になれなかった場合(※勝ち越しを続ければ最大3年は延長で在籍可能)

 

非常に厳しい決まりです。

どれだけその時点で棋力が伸びていたとしても、結果を出せなければ奨励会からは去らなければいけないのです。

 

そのため、奨励会に入ったこどもにとって、誕生日は1年で最も嬉しくない日になります。

誕生日を迎えることは、奨励会員としての寿命が1年縮まることを意味しますから。

 

 

ここまで、奨励会の基本的な仕組みを紹介しました。

次の章からは、入会方法をご紹介します。

 

入会方法

 

奨励会に入会する方法は、大きく4つです。

 

  1. 級位者入会試験
  2. 研修会からの編入
  3. 有段者編入試験
  4. 三段リーグ編入試験

 

順に、簡単に説明していきます。

 

1. 級位者入会試験

 

毎年8月に行われる試験に合格して入会するルートで、最も一般的な入会方法です。

 

受験できるのは満19歳以下で、プロ棋士から推薦を受けた(=師匠を立てた)者です。

 

以前は、師匠を立てなくても受験することが可能でしたが、現在は奨励会の受験時に師匠の推薦が必須になっています。

 

また、年齢により受験可能な級が変わります。

 

満15歳以下であれば、一番下の6級で受験が可能ですが、年齢が上がると、受験できる級も上がっていきます(満18歳以上だと1級しか受けられません)

 

入会年齢は11~14歳あたりが多いです。

受験料や申込手続きなどの詳細は、日本将棋連盟HPの受験案内をご参照下さい。

 

試験は、「一次試験」⇒「二次試験」の二段階で行われます。

 

一次試験

 

筆記試験と対局試験があります。

 

筆記試験は、次の一手問題や、将棋界の簡単な知識を問う問題(タイトル名やタイトル保持者を漢字で書かせる等)が過去に出題されています。

 

普段から、将棋世界や日本将棋連盟のWebサイトで将棋界の動向に目を通していれば、そこまで難しくはない印象です。

 

また、次の一手問題の過去問も見たことはありますが、次の一手本のアマ三段~四段クラスの問題と同程度のレベルかなと感じます。

 

奨励会を受験するお子様の棋力であれば、特別な対策は不要な気もしますが、きちんと対策を取りたいという方は、以下の本がオススメです。

 

四段の終盤

逆転の妙手 上級編

 

対局試験では、受験者同士で1人6局対局し、3~4勝以上で合格です。

 

年により若干の変動があり、一次試験の合格者数は、受験者数全体の4割弱程度になります。

 

なお、以下の条件に該当する受験者は、一次試験が免除されます。

 

  • 小学生名人戦、倉敷王将戦(高学年の部)の全国大会優勝者
  • 中学生名人戦、中学選抜、中学生王将戦の全国大会優勝者
  • 研修会B1クラス以上、かつ15歳以下

※2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、例年は一次試験の免除対象となる大会の一部が取りやめになっています。ご注意ください。

 

二次試験

 

一次試験の合格者は、現役の奨励会員と対局します。

3局指し、1局でも勝てば合格です。

 

対局の他に面接試験もありますが、基本的に面接で落ちることは無いようです。

 

まとめると、おおよそ受験者の2~3割程度が試験に合格し、奨励会に入会しているようです。

 

2. 研修会からの編入

 

奨励会の下部組織としての役割ももつ「研修会」から編入するルートで、1. 級位者入会試験と並んでメジャーな入会方法です。

 

研修会は、上から順に、S・A・B、…Fクラスまでで構成されていますが、15歳以下で「A2」に到達すると、奨励会6級に編入することができます。

 

また、更に高い「S」クラスに18歳以下で到達した場合も、同様に奨励会6級に編入できます。

 

3. 初段受験

 

満22歳以下で、アマチュアの主要大会や学生大会で、全国優勝または準優勝すると、奨励会の「初段」を受験する権利を得ます。

 

ただ、この制度を利用して奨励会を受験する人はあまりいないのが現状です。

 

例えば、中学生~高校生くらいのアマチュア選手が、アマ竜王戦などの大きな大会で優勝 or 準優勝した場合などは有効に活用できるかもしれません。

 

4. 三段リーグ編入試験

 

最後は、初段より更に高く、プロ入り一歩手前の三段リーグから編入できる試験制度です。

 

過去1年間のアマ6棋戦(アマ竜王戦、アマ名人戦、アマ王将戦、支部名人戦、赤旗アマ名人戦、朝日アマ名人戦)の優勝者にのみ受験資格が与えられる試験です。

 

合格すると、4期(2年)の間、三段リーグに所属することができます。

 

こちらは過去に11人がチャレンジしていますが、合格したのは2007年の今泉健司さん(現四段)のみです。

 

今泉さんも、そのときには三段リーグを勝ち抜けず、それから更にアマ大会で実績を重ねて、プロ編入試験を経てプロデビューしています。

 

おわりに

 

今回は奨励会とはどのような組織であるのか、および入会の方法について紹介してまいりました。

 

毎年7月初旬ごろに、その年の奨励会試験の案内が日本将棋連盟Webサイト上に掲示されますので、詳しい試験の実施要項などは、そちらをご覧ください。

 

奨励会入会後の昇級・降級の仕組みや、年齢制限については、こちらの記事に詳しく書いておりますので、あわせてご覧下さい。

 

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