こんにちは。
将棋普及指導員のきゃべ夫です。
将棋を指す方であれば、一度は将棋のコンピューターソフト(以下、将棋ソフト)に興味を抱いたことがあるのではないでしょうか。
良くも悪くも、ここ10年ほどで、将棋ソフトは将棋界にとって切っても切り離せないものになりました。
特に、2017年に佐藤天彦名人が最強ソフト「ponanza」に連敗した影響は大きく、将棋ソフトは人間のレベルをはっきりと超越したことが共通認識となりました。
その後、将棋ソフトの着想にヒントを得た指し方(elmo囲い)がプロの公式戦でも多く見られるようになりました。
また、将棋ソフトはプロの世界だけに関係する話ではなく、一般のアマチュアの研究にも広く普及するようになっています。
以前は、将棋ソフトといえばそれなりに高いお金を払って買うものだったのですが、今は強いソフトが無料公開されるケースも増え、大変便利になりました。
今回は、将棋ソフトの基本的な仕組みと導入方法、オススメの将棋ソフトについて解説いたします。
将棋ソフトの3つのパーツ
まずは、将棋ソフトがどのような仕組みで出来ているのかを簡単に説明します。
将棋ソフトは「将棋GUI」「評価関数」「探索部」の3つのパーツからできています。
これらの単語そのものを覚える必要はありません。それぞれの役割だけなんとなくイメージできればOKです。
それぞれのパーツを説明していきます。
将棋GUI
GUIとは、「Graphical User Interface」の略で(覚える必要はありません)、簡単に言うと人間が理解しやすいように将棋の盤や駒を表示するプログラムです。
将棋ソフトは、元々は盤駒を使用せず文字列で将棋を指すものなのですが、それだと人間の目で見ても分からないので、将棋GUIが必要というワケです。
将棋GUIはこんな感じです。(下図は将棋GUIの”将棋所”)
ブログやYouTubeで見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
評価関数
評価関数とは、局面を評価して「評価値」を計算するプログラムです。
人間が将棋を指す際の「大局観」(局面全体を見てどちらが良いか判断すること)に相当する部分です。
「評価値」とは、ある局面で、先手と後手のどちらが有利なのかを示す数値で、駒の損得や、駒同士の位置関係などをもとに計算されます。
詳しく説明するとキリがないのですが、プロ棋士の棋譜を利用した機械学習により評価関数の精度が高まったことで、将棋ソフトのレベルは飛躍的に向上しました。
探索部
探索部とは、評価関数で計算した「評価値」を基にその後の候補手を考えるプログラムです。
人間が将棋を指す際の「読み」に相当する部分です。
将棋は、取った相手の駒を自分の「持ち駒」として再利用できることなどにより、1手1手の可能性が非常に広いゲームです。
数手先の手の組み合わせでも、あっという間に数億手規模になります。
そんな膨大な候補手の中から、次の1手を絞る機能が「探索部」です。
将棋ソフトの導入方法
ここまで、将棋ソフトは「将棋GUI」「評価関数」「探索部」の3つのパーツからできていることをご説明しました。
次に、将棋ソフトの導入方法を説明します。
基本的には、別々で公開されている「将棋GUI」「評価関数」「探索部」をそれぞれダウンロードし、合体させることで使用できるようになります。
将棋GUIをダウンロード
まずは、パソコン上の盤駒にあたる「将棋GUI」をダウンロードしましょう。
代表的な将棋GUIソフトのダウンロード方法を以下の記事にまとめていますので、そちらを参考にしてください。
将棋所のダウンロード方法

ShogiGUIのダウンロード方法

評価関数・探索部をダウンロード
次に、将棋ソフトの頭脳にあたる評価関数と探索部をダウンロードしましょう。
評価関数と探索部は、セットにされていたり、1つサイトからダウンロードできるケースが増えており、便利になっています。
私のオススメは、今年5月の世界大会で優勝した「水匠2」です。
「水匠2」の導入方法は、以下の記事にまとめていますので、そちらを参考にしてください。

合体させよう!
最後に、ダウンロードした「将棋GUI」と「評価関数」「探索部」を合体させます。
こちらも、詳しい設定手順を以下の記事で説明していますので、そちらを参考にしてください。
これで、将棋ソフトの導入は完了です。
手順は少々長いですが、正しく行えばそこまで難しいものではありません。
おわりに
今回は、将棋ソフトの基本的な仕組みと、導入するまでの手順をご紹介しました。
それぞれのソフトの詳しいダウンロード手順は、それぞれ別記事を用意していますので、そちらを参照して下さい。
また、将棋ソフトの具体的な活用方法(対局、検討、研究)についても、今後、紹介していきますので、また読んでいただけると嬉しいです。