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盤上にほとばしる青春の汗!大学将棋の「団体戦」の仕組みを紹介!

アイキャッチ_チーム

2020年、AmebaTVで「プロ棋士による団体戦」が行われ、話題になりました。

プロの世界では団体戦は非常に珍しいです。

あの谷川浩司九段「アマチュアの学生などの団体戦は、プロの立場からすると羨ましく見えた」との言葉を述べています。

ところで、アマチュアの世界で「団体戦」といえば、大きく以下の4つがあります。

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  • 社団戦(将棋仲間なら誰とでもチームを組める)
  • 職団戦(同じ職場の同僚でチームを組む)
  • 学生の団体戦(同じ学校の児童・生徒でチームを組む)
  • 支部対抗戦(同じ日本将棋連盟支部の会員でチームを組む)

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今回の記事では、学生の団体戦の中でも特にアツい「大学将棋の団体戦」についてご紹介したいと思います。

大学の団体戦は本当に楽しいです。

青春の汗と色々な臭い(クサいじゃなくてニオい)が詰まっています。

将棋を指せる大学生なら、絶対に将棋部に入って団体戦を楽しむべし!と思うくらいに好きです。

「団体戦」とは?

記事中画像_チーム

大学将棋の団体戦とは、「同じ大学の学生がチームを組んで戦う大会」です。

全国8地区(北海道・東北・関東・北信越・中部・関西・中四国・九州)に分かれた地区大会を行い、その後、各地区の代表校が集結する全国大会(学生王座戦)が行われます。

ちなみに、学生王座戦は例年、クリスマスイブ前後に三重県四日市市で行われます。

「将棋に勝ちたいのなら、聖なる夜も盤上に没頭すべし」と、将棋の神様から与えられた試練とも言える開催日程です。

団体戦の様子を図にすると下のようなイメージです。

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1つの長い机にずらっと7人がならんで戦うんですね

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そうです、あいだに記録係が入ることもあります

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先手・後手はどうやって決めるんですか?

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[say img=https://cabbage-shogi.com/wp-content/uploads/2020/05/吹き出し_きゃべ夫-1.png name=きゃべ夫 from="right"]大将が振り駒を行います。大将が先手になった大学は、三将・五将・七将と、奇数の人が先手になります。これを「奇数先」といいます。逆は「偶数先」です。[/say]

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先手・後手がじぐざぐになるんですね。ところで、対局時計(青いやつ)はどっちに置くんですか?

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基本的には後手の人の聞き手側に置きます

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大学の数が多い関東や関西だと、何百人もの選手が一堂に会するわけで、その様子は圧巻です。(近頃は新型コロナウィルスの感染拡大で大人数での大会は開催できませんが…)

また、会場にいるのは対局者だけではありません。

各大学で対局には出場できなかったメンバーや、将棋部のOB、さらにはプロ棋士が観に来ていたりすることもあります。

学生将棋界の風物詩と言える光景です。

なお、持ち時間は25~30分(30秒または60秒の秒読みつき)で行われるケースが多く、1局終わるのに90分くらいかかる対局も珍しくはありません。

対戦の流れ

記事中画像_フロー

続いて、団体戦の対戦がどのような流れで行われているのかをご紹介します。

地域やシーズンによって多少の違いはありますが、この記事では、関東学生将棋連盟が主催している団体戦(春・秋)を例に説明します。

オーダー登録

団体戦の対局は、前述の通り7対7で行われるのですが、それに先立ち、各大学は出場の可能性がある選手を「オーダー表」に登録します。

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えらい強そうな大学ですね…

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オーダー表には最大14人まで登録でき、上から順に1番、2番、…、14番と番号がついています。

この番号が非常に重要なんです。

出場選手の選出

各大学は、他の大学との対局前に、その試合で出場する7名を選出します。

ここで選んだ7名のうち、オーダー表の最も上(若い番号)に登録されている選手が「大将戦」に出場します

以下、番号の若い順に副将、三将、…七将戦に出場します。

先ほどのオーダー表を例に、例えば、藤井(1年)、米長(3年)、升田(4年)、谷川(3年)、木村(4年)、関根(5年)、佐藤(2年)の7名を選出した場合は下図のようになります。

選んだ7人が、上から順に大将→副将→…→七将と出場する点がポイントです。

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つまり、オーダー表で1番に登録された藤井くん(1年)は、出場するとしたら必ず大将戦になるってことなんですね。

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そうです。逆に、14番の加藤くん(4年)は七将戦にしか出られません。つまり、オーダー表の端に登録するほど、出られる場所が限られるということです。

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同じような強さの選手が14人以上そろっている大学なら、どんな順番でオーダー登録しようが大差ありません。

しかし、多くの大学では選手の強さにばらつきがあります

そのため、オーダー表をどの順番で登録するか、というところから勝負が始まっているのです。

将棋そのものも頭脳戦ですが、オーダー登録や、出てくる選手の読みあいも大学将棋の団体戦の魅力です。

先ほど説明した通り、オーダー表の端に行くほど、出せる場所(大将~七将)の柔軟性が失われます。

そのため、チームのエース選手はオーダー表の真ん中あたり(7番周辺)に配置することが多いです。

オーダー交換

対局開始直前になると、対戦する大学の主将同士が向かい合い、それぞれの大学のオーダーを見せ合います。(オーダー交換といいます)

オーダー交換により、誰と誰が対戦するかが決まるわけです。

対局

オーダー交換が終わると、所定の席に座って対局が開始されます。

一般的なアマチュア大会と比べると持ち時間が長く、気迫のこもった熱戦が繰り広げられます。

7人制の場合、4勝以上した大学が勝ちになりますが、先にどちらかの大学が4勝を挙げても、そこで試合終了になるわけではありません。

必ず、7局全てが終局するまで指し続けます。

そして、両者3勝3敗で並び、最後の1局に全てがかかるような場面では、1局の将棋を何十人ものギャラリーが囲む光景も見られます。

団体戦の醍醐味とは

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団体戦の醍醐味は、何といってもチームの一体感です。

基本的に将棋は個人技の世界ですが、その将棋をチームメイトと戦い、ともに勝利を喜び、ともに敗北に泣くのが団体戦です。

また、大学将棋の団体戦は、若い学生のエネルギーがそうさせるのか、「勝ちたい気持ち」が究極まで高まる世界です。

私は、アマチュアの世界における団体戦には一通りは出場経験がありますが、やはり大学将棋は特別な思い入れがあります。

盤上に火花を散らす青春。もう一度味わってみたいものです。

レベルは高い?

ここまで、団体戦のアツさばかりを語ってきましたが、そのレベルについても触れておきたいと思います。

結論から言うと、地域やクラスによってかなり異なります。

私の大学は、在学中、関東のA級(一番上のリーグ)にずっと所属していましたが、関東A級のレベルはかなり高いです。

最低でも、将棋倶楽部24の四~五段くらいの棋力は無いと勝つのは困難です。

ましてや、A級常連校(早稲田・東大等)のレギュラーになりたいのであれば、最低でも将棋倶楽部24で六段くらいの棋力が必要とされます。

ただし、どの大学であれ、将棋が強い学生がたくさん入学する年もあれば、そうでない年もあります。

全体のレベル感も、年によってまちまちなので、上は1つの目安くらいに考えてください。

そして、クラスが下がるにつれて平均的な棋力は下がっていきます。

ただ、それが具体的にどのくらいの棋力であるのかは私は分かりませんので、気になる方は、ご自身が所属する大学の将棋部に直接問い合わせてみるといいと思います。
(最近では、部のTwitterを開設している大学も増えました)

また、仮にレギュラー陣の棋力に自分の棋力が届いていないからといって、将棋部に入るのをためらう必要はありません

大学の四年間という長い時間で、いくらでも強くなる人はいます。

私の先輩には、大学に入学してから将棋を始めて、関東A級で勝ち越した人もいたくらいです。

将棋を少しでも指せるのであれば、ぜひ、アツい大学将棋の世界に入ることをオススメします。

団体戦をやってみよう!

ぜひ、お近くの将棋仲間と団体戦をやってみましょう。

個人で指す将棋とはまた違う楽しみを感じることができますよ。

今は、対面での実施が難しい状況ですから、将棋倶楽部24などのネット将棋を活用しても良いでしょう。

記事中でご紹介した「オーダー表」のサンプルをつけておきますので、ぜひダウンロードして活用して下さい!

オーダー表のダウンロード!

オーダー表のダウンロ

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