盤上にほとばしる青春の汗!大学将棋の「団体戦」の仕組みを紹介!

こんにちは。

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」をしております、きゃべ夫と申します。

最近、インターネットの将棋番組で「団体戦」が行われ、話題になっていますね。

プロ棋士の世界で団体戦が行われることは通常は無く、あの谷川浩司九段もアマチュアの学生などの団体戦は、プロの立場からすると羨ましく見えたとの言葉を述べています。

ところで、アマチュアの世界で「団体戦」といえば、大きく以下の4つがあります。


  • 社団戦(将棋仲間なら誰とでもチームを組める)
  • 職団戦(同じ職場の同僚でチームを組む)
  • 学生の団体戦(同じ学校の学生・生徒でチームを組む)
  • 支部対抗戦(同じ日本将棋連盟支部の会員でチームを組む)

今回の記事では、学生の団体戦、とりわけ特にアツい「大学将棋」の団体戦についてご紹介したいと思います。

はじめに言っておきますが、大学の団体戦は本当に楽しいです。
青春の汗と色々な臭いが詰まっています。

将棋を指せる大学生なら、絶対に将棋部に入って団体戦を楽しむべしと思うくらいに好きです。


「団体戦」とは?

大学将棋の大会は、個人戦と団体戦があります。

個人戦は、通常の将棋大会と同じく、1対1で将棋を指し、優勝者を決めるトーナメント戦です。(一口に大学生の個人戦と言っても、色々な大会がありますがここでは割愛します)

一方、団体戦とは「同じ大学の学生がチームを組んで戦う大会」です。

図にすると下のようなイメージです。



扇子くん
1つの長い机にずらっと7人が並んで戦うんですね。
きゃべ夫
そうだよ、クラスによってはこれに記録係が入ることもあるんだ。
扇子くん
先手と後手はどうやって決めるんですか?
きゃべ夫
大将戦の場所で振り駒を行うんだ。大将戦が先手になった大学は、以下、三将・五将・七将が先手になり、これを奇数先という。大将戦が後手だった大学は、副将・四将・六将が先手になり、これを偶数先というんだ。
扇子くん
先手後手がジグザグになるイメージなんですね。ところで対局時計(青いやつ)の位置もバラバラに見えるのですが…
きゃべ夫
基本的には、対局時計は後手番の利き手側に置くことが多いから、仮に対局者全員が右利きだとしたら、上の図のようになるんだよ

大学が多い関東や関西だと、これが何十校も並ぶわけで、その様子は圧巻です。
また、会場にいるのは対局者だけではありません。
各大学で対局には出場できなかったメンバーや、将棋部のOB、さらにはプロ棋士が観に来ていたりすることもあります。
学生将棋界の風物詩と言える光景で、今でも懐かしくなります。

対戦の流れ

続いて、団体戦の対戦がどのような流れで行われているのかをご紹介します。

地域やシーズンによって多少の違い(チームの人数など)があるとは思いますが、本記事では関東学生将棋連盟が主催している団体戦(春・秋)をサンプルに説明します。

オーダー登録

団体戦の対局自体は、前述の通り7人VS7人で行われるのですが、それに先立ち、各大学は出場の可能性がある選手を「オーダー表」に登録します。(下図のイメージ)



扇子くん
なんだか、えらい強そうな大学ですね・・・

14枠全てを埋める必要はなく、部員が少ない大学だと、10名くらいしか埋まっていないケースもあります。

そして、このオーダー登録順が非常に重要なんです。

出場選手の選出

各大学は、他の大学との対局前に、その試合で出場する7名を選出します。

ここで選んだ7名のうち、オーダー表の最も上(若い番号)に登録されている選手が「大将戦」に出場します

以下、番号の若い順に副将、三将、…七将戦に出場します。

先ほどのオーダー表を例に、例えば、藤井(1年)、米長(3年)、升田(4年)、谷川(3年)、木村(4年)、関根(5年)、佐藤(2年)の7名を選出した場合は下図のようになります。



「選んだ7人が、上から順に大将→副将→…→七将と出場する点がポイントです。


扇子くん
つまり、オーダー表で1番に登録された藤井くん(1年)は、出場するとしたら必ず大将戦になるってことなんですね。
 
きゃべ夫
その通り。逆に、14番の加藤くん(4年)は七将戦にしか出られない。つまり、オーダー表の端に行くほど出せる場所が限られるということなんだ。

同じような強さの選手が14人以上揃っているような大学であれば、どのような順番でオーダー登録をしても大差はありませんが、多くの大学は選手のレベルにばらつきがあります

そのため、オーダー表をどのような順番で登録しておくか、というところから勝負が始まっているのです。

将棋自体も頭脳戦ですが、オーダー登録や、出てくる選手の読みあいも大学将棋の団体戦の魅力です。

なお、先ほど申し上げた通り、オーダー表の端に行くほど、出せる場所(大将~七将)の柔軟性が失われてしまうので、チームのエース的な選手はオーダー表の真ん中あたり(7番周辺)に配置することが多いようです。

オーダー交換

対局開始直前になると、対戦する大学の主将同士が向かい合い、それぞれの大学のオーダーを発表します。

きゃべ夫
主将にとっては、この瞬間が一番緊張します笑

大学生とはいえまだ学生。

オーダーを発表したときに「よっしゃ!」「あああ!!!」みたいな心の声が漏れている様子もたまに見られます。

なお、もう10年以上前の話ですが、某大学がオーダー表に書いたのと違う選手を出す、いわゆる「替え玉」を行うという前代未聞の事件を起こしたことがあります。

良い話ではないので詳しくは書きませんが、不正行為は言語道断です。

特に将棋は「礼にはじまり礼におわる」と言われる、礼節を重んじる世界です。

団体競技はチームのみんなで行っているものでもあるので、ルールを守って正々堂々と戦いましょう。

対局

オーダー交換が終わると、所定の席に座って対局が開始されます。

持ち時間は30分。

それを使い切ると1手60秒以内と、一般的なアマチュア大会と比べても長いルールになっており、気迫のこもった熱戦が繰り広げられます。

7人制の場合、当然4勝以上した大学が勝ちになりますが、先にどちらかの大学が4勝を挙げても、そこで試合終了になるわけではありません。

必ず、7局全てが終局するまで指し続けます。

団体戦の醍醐味

団体戦の醍醐味は、何といってもチームの一体感です。

基本的に将棋は個人技の世界ですが、その将棋をチームメイトと戦い、ともに勝利を喜び、ともに敗北に泣くのが団体戦です。

また、大学将棋の団体戦は、若い学生のエネルギーがそうさせるのか、「勝ちたい気持ち」が究極まで高まる世界です。

私は、アマチュアの世界における団体戦には一通りは出場経験がありますが、やはり大学将棋は特別です。

盤上に火花を散らす青春を、仲間と一緒に過ごすのは格別なものがあります。

レベルは高い?

ここまで、団体戦のアツさばかりを語ってきましたが、そのレベルについても触れておきたいと思います。

結論から言うと、地域やクラスによってかなり異なります。

私の大学は、在学中、関東のA級(一番上のリーグ)にずっと所属していましたが、関東A級のレベルはかなり高いです。

最低でも、将棋倶楽部24の四段以上の棋力は無いと勝つのは困難です。

ましてや、A級常連校(早稲田・東大等)のレギュラーになりたいのであれば、将棋倶楽部24で六段くらいの棋力が必要とされます。

ただし、どの大学であれ、将棋が強い学生がたくさん入学する年もあれば、そうでない年もあります。

全体のレベル感も、年によってまちまちなので、上は1つの目安くらいに考えてください。

そして、クラスが下がるにつれて平均的な棋力は下がっていきます。

ただ、それが具体的にどのくらいの棋力であるのかは私は分かりませんので、気になる方は、ご自身が所属する大学の将棋部に直接問い合わせてみるといいと思います。
(最近では、部のTwitterを開設している大学も増えました)

また、仮にレギュラー陣の棋力に自分の棋力が届いていないからといって、将棋部に入るのをためらう必要はありません

大学の四年間という長い時間で、いくらでも強くなる人はいます。

私の先輩には、大学に入学してから将棋を始めて、関東A級で勝ち越した人もいたくらいです。

将棋を少しでも指せるのであれば、ぜひ、アツい大学将棋の世界に入ることをオススメします。

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