棋王戦ってどんな棋戦?ルールや特徴、過去の記録などを解説!

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。

以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。

関連記事

皆様こんにちは、将棋普及指導員のきゃべ夫です。以前、別記事でご紹介した通り、奨励会を卒業し「四段」に昇段すると、新聞社などが主催しているプロのトーナメント(=棋戦)に出場できるようになります。棋戦には、下図のような分類があります。[…]

今回は、8大タイトル戦の1つである棋王戦について解説します。

棋王戦の基本データ

まずは、棋王戦の基本的なデータから見ていきましょう。

特徴1:敗者復活制度

棋王戦は、予選⇒挑戦者決定トーナメントを経て挑戦者を決めるのですが、ベスト4以上は、敗者復活制度という変わった仕組みが導入されており、これが棋王戦の一番の特徴です。



挑戦者決定トーナメントの準決勝で敗れた棋士2名、決勝で敗れた棋士1名の計3名は敗者組に回ります。

敗者組から勝ち上がった棋士と、挑戦者決定トーナメントを優勝した棋士で、変則二番勝負の挑戦者決定戦を行います。

挑戦者決定戦では、挑戦者決定トーナメントの優勝者は二戦のうち一勝すれば挑戦権を獲得できます。

一方、敗者復活で勝ち上がった棋士は二連勝が必要です。

扇子くん
つまり、ベスト4以上は二敗すると敗退となるわけですね

特徴2:永世称号の条件が特殊?

タイトル戦には、殿堂入りに相当する「永世称号」という制度があります。

基本的には、「通算X期獲得」という条件になっているか、そこに「連続X期」という条件も加わっているタイトルが多いのですが、棋王戦の永世称号である永世棋王は連続5期獲得でしか名乗る資格を得ることができません

永世称号の獲得条件が連覇のみ、というのは8大タイトル戦の中でも棋王戦だけです。

過去に達成したのは羽生善治先生と渡辺明先生のお二人。

勢いに乗る挑戦者を抑えての5連覇は偉業と言うほかありません。

特徴3:近年は若手の活躍が顕著

近年では、若手棋士が活躍するケースが増えており、何かと話題性のあるタイトル戦になっています。

ここ数年で、若手が特に活躍したシーズンを振り返ってみましょう。

2016年度(第42期)

挑戦者決定戦に進出したのはいずれも若手棋士の千田翔太五段と佐々木勇気五段。

勝てばいずれもタイトル初挑戦、そして六段昇段を決める戦いとして注目を集めました。

結果は第1局を千田五段が制し、初のタイトル挑戦を決めました。(これにより千田五段は六段に昇段)

しかし、五番勝負では渡辺明棋王の厚い壁に阻まれ、フルセットまで追い詰めたものの2勝3敗で敗退。

渡辺棋王は棋王5連覇を達成し、永世棋王を名乗る権利を獲得しました。

2017年度(第43期)

挑戦者決定戦に進出したのはいずれも若手棋士の永瀬拓矢七段と黒沢怜生五段。

結果は第2局を永瀬七段が制し、2016年度の棋聖戦に続く2回目のタイトル挑戦を決めました。

しかし、五番勝負では渡辺明棋王の厚い壁に阻まれ、フルセットまで追い詰めたものの2勝3敗で敗退。

渡辺棋王は棋王6連覇を達成しました。

2019年度(第45期)

挑戦者決定戦に進出したのはいずれも若手棋士の本田奎四段と佐々木大地五段。

特に本田四段は棋王戦が今回初参加。

初参加の棋士が挑戦者決定戦まで進出するケースも相当珍しく、挑戦者決定戦は大いに注目されました。

結果は二戦目を本田四段が勝ち、見事、史上初となる参加1期目の棋戦でのタイトル挑戦を達成しました。(タイトル挑戦により五段昇段)

しかし、五番勝負では渡辺明棋王の厚い壁に阻まれ、1勝3敗で敗退。

渡辺棋王はこれで棋王8連覇となりました。

きゃべ夫
渡辺棋王の壁が厚い!!

棋王戦のちょっとマニアなデータ

それでは、観る将向けの少しマニアなデータを見ていきましょう。

最多獲得・最多連覇

いずれも羽生善治九段です。

13連覇がかかったシリーズでは、同じ羽生世代の丸山忠久九段が挑戦。

丸山九段が2連敗の後3連勝で逆転奪取に成功したことが印象深いシリーズでした。

その後、1期を追加し、2020年7月時点では合計13期獲得しています。

最年少・最年長

最年少は羽生九段の20歳。南芳一棋王からの奪取でした。

最年長は谷川浩司九段です。

40歳過ぎの谷川先生は、公式戦通算1,000勝(当時は史上最速・最年少)、王位・棋王の複数冠保持と、非常に充実されていました。

五番勝負の最多勝利・最多連勝

こちらはいずれも羽生善治九段。
王座戦ではタイトル戦で19連勝という途方もない記録を作った羽生先生ですが、棋王戦でも1990年代前半に16連勝を達成しています。
第18期(1992)●○●○○(VS谷川)
第19期(1993)○○○  (VS南)
第20期(1994)○○○  (VS森下)
第21期(1995)○○○  (VS高橋)
第22期(1996)○○○  (VS森下)
第23期(1997)●○(VS郷田)
1990年代前期~中期は七冠独占に向かっていた最強時代。
まさに神のごとき強さでした。

おわりに

8大タイトル戦の1つ「棋王戦」について解説しました。
記事でもご紹介した通り、最近は若手棋士の活躍が目立ち、特に見どころの多いタイトル戦になっています。
今期以降の動向も、目が離せないですね。
8大タイトル戦については、棋戦ごとに記事を書いておりますので他の記事もぜひ読んでいただけると嬉しいです。

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、8大タイトル戦の中から、ヒューリック杯棋聖戦につ […]

こんにちは。 日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、将棋界の中でも最も伝統と格式が高い […]

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、8大タイトル戦の中から、将棋界の夏の風物詩として […]

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、8大タイトル戦の1つである王将戦について解説しま […]

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、8大タイトル戦の中から、王座戦について解説します […]

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、8大タイトル戦の1つである棋王戦について解説しま […]

こんにちは。 日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、その中でも最高峰のタイトル戦と位置 […]

こんにちは。 日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。 以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。 今回は、2017年度からタイトル戦に昇格し […]

きゃべ夫が発信する最新情報をチェックしよう!