王座戦ってどんな棋戦?ルールや棋戦の特徴、過去の記録などを解説!

日本将棋連盟公認「将棋普及指導員」のきゃべ夫です。

以前の記事で、プロの公式戦の中でも特に格式の高い「8大タイトル戦」についてご紹介しました。

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今回は、8大タイトル戦の中から、王座戦について解説します。

王座戦の基本データ

まずは、王座戦の基本的なデータから見ていきましょう。

特徴1:シンプルなトーナメント

王座戦の対戦方式はとてもシンプル。

一次予選⇒二次予選⇒決勝トーナメントを経て挑戦者を決定します。

しかし、逆に言えば1敗でもすると挑戦の可能性は消滅するわけで、シンプルだからといって挑戦する難度が低いわけではありません。

8大タイトル戦の中で、「1敗でもすると、即挑戦権が無くなる」のは、王座戦とヒューリック杯棋聖戦の2棋戦のみです。

特徴2:チェスクロック式を採用

王座戦の持ち時間は予選・五番勝負問わず、一律5時間。

更に、2019年度の第67期からは、五番勝負にもチェスクロック式(1分未満の考慮もカウントする方式)が導入されました。

2020年現在、8大タイトル戦の番勝負でチェスクロック式が採用されているのは、叡王戦と王座戦の2棋戦です。

特徴3:永世称号は「名誉王座」

タイトル戦では、一定の条件を満たすと、殿堂入りにあたる「永世称号」を名乗る権利を獲得できます。

タイトル戦の永世称号は、基本的に「永世〇〇」(名人は〇世名人)ですが、王座戦は名誉王座です。

これは囲碁界の永世称号の呼称に合わせたものです。(囲碁界のタイトルの永世称号は基本的に「名誉〇〇」。本因坊戦のみ「永世本因坊」)

ちなみに、名誉王座の獲得条件は連続5期または通算10期。

過去に名誉王座を名乗る権利を獲得したのは、中原誠十六世名人と羽生善治九段の2名です。

特徴4:長らく羽生王国だった

王座戦は、長い間、羽生善治九段の王国でした。

後半の「王座戦のちょっとマニアなデータ」で詳しく解説しますが、私が物心ついた頃から、大人になるまで、ずっと羽生王国でした。

実際に記録を見ていただくと実感できると思います。

今では、他の棋士も王座を獲得するようになっていますが、昔からの将棋ファンの頭の中には「王座戦=羽生善治」という方程式が強く残っているのです。

王座戦のちょっとマニアなデータ

それでは、観る将向けの少しマニアなデータを見ていきましょう。

 
扇子くん
王座戦は、羽生先生1人で指しているんですか・・・?

最多獲得・最多連覇・最年少獲得・最年長獲得・五番勝負の最多勝利・最多連勝は全て羽生善治先生です。

圧巻です。

それでは、いくつかの記録について補足説明をします。
(タイトル戦の対戦カードにおける肩書はいずれも当時)

最多獲得(24期)

羽生先生は、王座だけで24期獲得しています。

ちなみに、2020年7月現在の8大タイトル獲得期数の上位5名は以下。

羽生善治九段
99期
(故)大山康晴十五世名人
80期
中原誠十六世名人
64期
谷川浩司九段
27期
渡辺明二冠
25期
渡辺先生の次が(故)米長邦雄永世棋聖の19期ですから、そもそもタイトルを24期以上獲得した棋士自体が、羽生先生を含めて5人しかいないのです。
それを、1つのタイトルだけで24期。
いかにすごいことか、お分かりいただけたかと思います。

最多連覇(19連覇)

羽生先生は、1992年度の第40期王座戦で福崎文吾王座を3-0で破ってから、2011年度の第59期王座戦で渡辺明竜王に敗れるまで、実に19連覇を果たしています。
王座戦はもちろん、全棋戦を含めても最多の連覇記録です。
きゃべ夫
羽生先生が王座を獲得したときは3歳の幼児だった私が、王座失冠時には大学4年生になってました。
余談ですが、羽生先生が19連覇したことで、福崎文吾先生も「前王座を19連覇」(正確には前王座という肩書はありませんが)というジョークを色々な場面で仰っていました。

最多連勝(19連勝)

王座戦五番勝負での連勝記録も、もちろん羽生先生。
2004年度の第52期王座戦第3局で森内俊之竜王に敗れて以降、丸6期負けなし。
第52期 〇〇●○(VS森内俊之竜王)
第53期 ○○○ (VS佐藤康光棋聖)
第54期 ○○○ (VS佐藤康光棋聖)
第55期 ○○○ (VS久保利明八段)
第56期 ○○○ (VS木村一基八段)
第57期 ○○○ (VS山崎隆之七段)
第58期 ○○○ (VS藤井猛九段)
第59期 ●●● (VS渡辺明竜王)
挑戦してきているのは、同世代の一流棋士や若手の強豪ばかり。
その中で3タテを6年続ける強さはまさに異次元でした。(他棋戦では、もっとすごい連勝記録もあるのですが、それはまた今度紹介します)
これも、相当に破られにくい記録と言えるでしょう。

おわりに

8大タイトル戦の1つ「王座戦」について解説しました。
後半は、ほぼ羽生先生の記事になってしまいましたが、それくらい、これまでの王座戦の歴史は羽生先生の歴史でもあったわけです。
ただ、最近は中村太地先生・斎藤慎太郎先生・永瀬拓矢先生が王座を獲得するなど、若手棋士が活躍するようになっています。
新時代の王座戦からも目が離せないですね。
8大タイトル戦については、棋戦ごとに記事を書いておりますので他の記事もぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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