奨励会を卒業し「四段」に昇段すると、新聞社などが主催しているプロのトーナメント(=棋戦)に出場できるようになります。
棋戦には、下図のような分類があります。
勝敗が各棋士の公式記録として残される棋戦を「公式戦」、記録されない棋戦を「非公式戦」と言います。
公式戦の中でも、特に格式が高く、称号(タイトル)の座を競って行われる棋戦のことを「タイトル戦」と呼びます。
タイトル戦で優勝すると、「○○竜王」や「○○名人」など、そのタイトルで呼ばれるようになります。
2020年度に入ってから、藤井聡太先生が棋聖戦・王位戦でタイトルを獲得したことは、将棋界の枠を超えて広く知られましたね。
今回は、将棋界の8大タイトル戦に関する基本的な知識を解説します。
8大タイトル戦の種類と読み方
2021年2月現在、将棋界には以下の8つのタイトルがあります。
どれもカッコイイ響きですね。
それぞれのタイトル戦は1年を1期として行われます。
9~10ヵ月ほどかけて予選を行い挑戦者を決め、タイトル保持者と挑戦者による番勝負が行われます。
そして、番勝負の勝者がその年のタイトルホルダーとなるわけです。
ポイント
番勝負の数は棋戦によって異なります。
竜王・名人・王位・王将は七番勝負(先に4勝した棋士がタイトル獲得)、王座・棋王・叡王・棋聖は五番勝負(先に3勝した棋士がタイトルを獲得する)です。
8大タイトルの序列(格付け)
8大タイトルには序列(格付け)があります。
こちらの記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
永世称号について
タイトル戦は、一定の回数獲得すると、引退後にそのタイトルを名乗れる「殿堂入り」のような制度があります。
これを「永世称号」といいます。
こちらの記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
>>将棋のタイトル戦の永世称号とは?取る条件や過去の取得者を解説!
8大タイトル戦の年間スケジュール
ここまでご紹介した8大タイトル戦について、現在のタイトルホルダーと、年間の開催スケジュールを図に整理しました。
薄い青が予選、濃い青がタイトル獲得者を決める番勝負です。
図を見ていただければお分かりの通り、将棋界では、ほぼ年間を通して、何らかのタイトル戦の番勝負が行われています。
1年中、プロ棋士の熱い戦いが観られるということですね。
注意ポイント
なお、上の図は通常時のスケジュールです。
2020年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、タイトル戦の開催スケジュールも見直しが行われていますので、ご注意下さい。
8大タイトル戦の賞金は?
8大タイトル戦に参加し、対局を行った棋士は、対局料や賞金を受け取ることができます。
「対局料」は1局ごとにもらえる収入、「賞金」は優秀な成績を上げるともらえる収入を意味します。
タイトル獲得者が得られる優勝賞金はタイトル戦により大きく異なり、一般的には以下のように言われています。
- 竜王:4,400万円
- 名人:3,000万円程度
- 王位:1,000万円程度
- 王座:800万円程度
- 棋王:600万円程度
- 叡王:300~600万円程度
- 王将:300万円程度
- 棋聖:300万円程度
竜王戦の優勝賞金は将棋界最高額の4,400万円。
唯一、優勝賞金や対局料の一部が公開されているタイトル戦です。
他の棋戦は、一般的にこのくらいだろうと考えられている推計値になりますので、参考程度にご覧下さい。
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おわりに
本記事では、8大タイトル戦の全体像をご紹介しました。
各タイトル戦について、
- 挑戦者はどのように決めているの?
- 最近のタイトル保持者は誰?
など、よりくわしいことを知りたい方は、それぞれの棋戦ごとに紹介記事を用意しておりますので、関連記事をぜひご覧下さい。