将棋の棒銀戦法のおすすめ本3冊を紹介【ミニ講座つき】
初心者に人気の戦法と言えば棒銀です。単純ながら、飛車+銀の攻めは強力!
この記事ではそんな棒銀戦法の指し方を学べる本を、厳選して3冊紹介します。
棒銀のおすすめ本
①マンガでおぼえる棒銀戦法
最初に紹介するのは「マンガでおぼえる棒銀戦法」。
その名の通り、マンガのストーリーに沿って、棒銀戦法の攻め方を解説している本です。子どもでも楽しく読めます。
原作は、初心者向けの本を数多く出している高橋道雄九段。棒銀の本に迷ったら、まずはこの本を買ってみましょう。
②丸暗記原始棒銀戦法
同じく、高橋道雄九段の著書です。
棒銀の狙いはわかったけど、実際の対局でどう指せばいいか分からないという人に向けて書かれた1冊。
相手陣を破るまでの手順が1手ずつ解説されていて、暗記すれば相手陣を攻略できるようになります。
もちろん、相手のレベルが上がれば、本に書いていない「受け」を色々と出されて上手くいかない場面も増えるのですが、初心者同志の対局なら必ず役に立ちますよ。
③井上慶太の居飛車は棒銀で戦え
NHK将棋講座の内容をまとめた本。
テレビ番組をもとにしているだけあって、構成がとてもしっかりしています。
上の2冊と比べると、相手の対策もしっかりしてきて少しステップアップした内容になっています。
棒銀に少し慣れてきたと感じたら読んでみましょう。
【ミニ講座】棒銀の指し方
ここからは棒銀を指すコツを、簡単に紹介します。
ステップ1:棒銀のねらいを知ろう
まずは細かな手順ではなく、棒銀戦法のねらいを理解しましょう。棒銀は「数の攻めで飛車先を破ること」をねらった戦法です。
かんたんな図で解説していきます。第1図は棒銀で相手の陣地をこれから攻めるぞ!という局面です。
ここで先手の番なら、▲24歩(第2図)と突きます。
これを相手が放置すると、次に▲23歩成(第3図)と「と金」を作って後手の陣地は壊滅してしまいます。
それではいけないので、第2図では△24同歩(第4図)と歩を取ります。
そこで▲24同銀(第5図)と銀で歩を取ります。ココが大事で、棒銀は銀が前に出てば出るほどうまく攻めが決まります。
これで相手が放置すると、やはり▲23歩(第6図)が痛い。
相手の角は逃げ場所がありません。△23同金も▲同銀成で金を取れます。しかたないので、相手は第5図で△23歩(第7図)と自分から歩を打つくらいですが・・・
この第7図をよく見てください。こちらが攻めようとしている「23」の場所は、
- こちらは銀+飛車の2枚で攻めている
- 相手は32の金1枚で守っている
状態です。つまり攻めている数のほうが多いのです。だから第7図では▲23同銀成(第8図)とすれば飛車先(こちらの飛車がもともといる2筋のこと)を破れます。
第8図から△23同金▲同飛成(成功1図)と進めば、飛車の進化系「竜」を作ることができて、こちらの攻めは大成功となります。
ステップ2:5段目に銀を出ることをねらおう!
さきほど解説した第1図、実はすでにこちらの棒銀がうまくいっている局面なのです。
なぜなら「攻めの銀が5段目に出ている」から。5段目まで銀が出れれば、いつでも▲24歩と突っかけて攻められるのです。そうすると棒銀がうまくいきやすい。
そこで相手は第9図のように、1筋や3筋の歩を突いて、銀が5段目に出るのを防いできます。
このままでは35や15といった「5段目のマス」に銀が出られませんね。こういうときには▲35歩(第10図)と歩を突っかけます。
第10図で△35同歩と取れば、▲同銀(成功2図)とします。
銀を5段目に出ることに成功しましたね。あとは、ステップ1で解説したように▲24歩と突いていけば、こちらの攻めがさくれつします。
ちなみに第9図では▲15歩(第11図)とこちらの歩を突く手もあります。少し難しいですが、解説していきます。
第11図で、相手は△15同歩と歩を取ります。そこで▲同銀(第12図)と、銀で取るのが良い手です。
「えっ!相手の香車で取られちゃうじゃん!」と思う人も多いでしょう。
でも、それでいいんです!第12図から△15同香▲同香と進んだ第13図を見てみましょう。
こちらの銀と相手の香車の交換したので、たしかに少し損をしているのですが、第13図では次に▲12香成と相手陣に香車を侵入するねらいがあります。
それを防いで、相手は△13歩(第14図)とフタをしますが…
▲27香(成功3図)と2筋に数を足して、次に▲24歩と突いたり、
▲19香(成功4図)と1筋に数を足して、次に▲13香成△同桂▲14歩などの攻めをねえば、こちらが有利になります。
▲15歩からの攻めは少し難しいですが、将棋ウォーズで5級に到達した方は、きちんとマスターしましょう。
ステップ3:銀を逃げない手を覚えよう
棒銀で攻めていると、相手がこちらの銀を追い払おうとしてくる場面があります。そんなときに「銀を逃げない手」を覚えると、攻めがグッと上手になります。第15図をご覧ください。
これは相手が△34歩と打って、こちらの5段目の銀を追い払おうとしています。ここで▲26銀(第16図)と引っこんでしまうのは元気がありません。
攻めるために銀を出たのに、なんだかもったいないですね。そこで第15図では▲24歩(第17図)と元気よく突く手を覚えましょう。
第17図で△35歩と銀を取ると、▲23歩成(第18図)と飛車先を突破してこちらが優勢です。
第18図は、こちらの銀を取られて損をしていますが、相手の角、金、銀のどれかは必ず取り返せる形です。しかも飛車も成れそうなのでむしろこちらが得となります。
第17図では△24同歩(第19図)と取るほうがマシですが、
▲24同銀(第20図)と進軍します。
以下△24同銀▲同飛(成功5図)と進むと…
こちらの攻めの銀を、相手の守りの銀と交換できました。これまでの成功図と比べると何だか地味ですが、成功5図も相手の守りを薄くして棒銀の攻めが成功しています。
ステップ4:棒銀の失敗パターンを知ろう
ここからは将棋ウォーズ2~3級以上の方むけ。ステップ1~3で解説した攻めは、相手の陣形や持ち駒によってはうまくいきません。どんなときにダメなのかを学びましょう。
失敗例1:数の攻めができていない
将棋は数の攻めが何よりも大事。棒銀の場合、攻めようとする場所に相手より多い数で攻めないと失敗します。
たとえば、第21図がダメな例です。24を攻めている駒は「歩・銀・飛」の3枚。後手の守り駒も歩・銀・角の3枚(42にいる角が24に利いている)。つまり攻めと守りが同数なのでうまくいかないのです。
実際、第21図から△24同歩▲同銀△同銀と進めば、こちらが単純な銀損です。(▲24同飛は△同角と取られます)こういうときは、先手もイメージ図のように角を足してから攻めないとダメなのです。
失敗例2:相手の角で返し技をくらう
棒銀で攻めた瞬間に、相手の角でカウンターをくらうのも、よくある失敗です。第22図から攻めてみましょう。
第22図以下の指し手
24歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△15角(失敗2図)
相手が角を持っているときに居玉(玉が最初の場所に居ること)のまま攻めると、王手飛車取りをくらいます。これは一瞬で負けになってしまいます。
最後に、有段者レベルの返し技を紹介します。第23図をご覧ください。
第23図以下の指し手
▲24歩△35歩▲23歩成△27歩▲同飛△45角(失敗3図)
後手の陣形次第では、こんなカウンターもあります。失敗3図は、飛車を逃げて△23角と取られると、銀損が残って先手が失敗です。
ただし、後手玉の場所が41や42の場合は、失敗4図で「▲32と」と王手で金を取れるので、損にはなりません。この違いまで理解して攻めることができれば有段者クラスです。
まとめ:棒銀で攻めまくろう!
今回は、棒銀のおすすめ本と、棒銀を指すコツを紹介しました。少しでも読者の方の役に立てばうれしいです。
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