この記事では、将棋の8大タイトル戦の1つ「竜王戦」の仕組みや魅力を紹介します!
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将棋を指すこと、観ることに関するさまざまな知識を、分かりやすくお届けします!
もくじ
竜王戦とは?
まずは、竜王戦の基本的なデータを紹介します。
棋戦名 | 竜王戦 |
タイトル名 | 竜王(りゅうおう) |
主催 | 読売新聞社 |
協賛など | 野村HD、東急グループほか |
開始年 | 1987年 |
賞金 | 4,400万円 |
持ち時間 | 5時間(予選)、8時間(七番勝負) |
永世称号 | 連続5期/通算7期 |
現在の保持者 | 豊島将之 |
Webサイト | 日本将棋連盟公式サイト |
竜王戦は、前身の「十段戦」を発展的に解消し、1987年より開始した棋戦です。
将棋で最強の駒である「竜王」(飛車が成ったもの)にちなんだ棋戦名で、将棋界最高峰の棋戦名にふさわしい、かっこいい名前です。
将棋界では、江戸時代からの伝統の流れをくむ「名人戦」とならび、2大タイトルと位置づけられています。(くわしくはタイトル戦の序列をご覧ください)
竜王戦の賞金は?
続いて、竜王戦の賞金について解説します。
竜王戦の優勝賞金は、将棋界最高の4,400万円。
挑戦者を決める「決勝トーナメント」の対局料も、1局数十万~数百万円になる、将棋界のドリームマッチです。

竜王戦の予選の仕組み
ここからは、竜王戦の予選の仕組みを紹介します。
図にまとめると下のようになります。
ランキング戦
まず、1組~6組の6つのクラスに分かれた「ランキング戦」を行います。
1組が最もレベルが高く、A級棋士やタイトル保持者などがひしめきます。
各組の上位入賞者が決勝トーナメントに進出します。

なお、ランキング戦で上位の組に昇級すると、段位が上がる仕組みがあります。くわしくはプロ棋士の段位の仕組みをご覧ください。
決勝トーナメント
ランキング戦を勝ち上がった11名の棋士により行われるトーナメント戦です。
決勝トーナメントの優勝者が竜王への挑戦権を得ます。
王位戦七番勝負と並び、将棋界の夏の風物詩として将棋界を盛り上げているトーナメント戦です。


竜王戦七番勝負
決勝トーナメントを勝ち上がった挑戦者が、竜王と七番勝負を行います。(毎年10~12月ごろ)
七番勝負は全国各地(時に海外)の名旅館・ホテルなどで行われ、先に4勝した棋士が竜王位を獲得します。
竜王戦七番勝負の持ち時間は1人8時間。
8大タイトル戦では、名人戦の9時間に次ぐ、長い持ち時間の対局です。
観る将向けのちょっとマニアな知識
ここからは、観る将ならば知っておきたい、ちょっとマニアな知識を紹介します。
①100年に一度の大勝負
2008年の第21期竜王戦は、4連覇中の渡辺明竜王に、通算6期の羽生善治名人が挑戦したシリーズでした。(肩書はいずれも当時)
竜王戦は、連続5期または通算7期で永世竜王を名乗る権利を得る規定があります。
つまり、このシリーズは「勝った方が初代永世竜王になる」という舞台だったのです。
将棋界では「100年に一度の大勝負」と言われ、大変な盛り上がりを見せました。
結果は、渡辺竜王が3連敗から4連勝の大逆転で防衛。
将棋界の七番勝負で、片方が3連敗してから4連勝したのはこのときが初めて。
何かもが歴史に残る番勝負でした。
②竜王戦ドリーム
竜王とならんで「2代タイトル」と言われる名人戦は、挑戦者になるまでに最低でも5年かかります。
一方、竜王戦はデビュー1年目の棋士でも(女流棋士やアマチュアでも)、勝ち続けさえすれば挑戦者になれる仕組みです。
実際、何人もの若手棋士が竜王戦での活躍をきっかけに一気にトップ棋士までかけ上がっており、その様子は「竜王戦ドリーム」と呼ばれています。
おわりに
今回は、将棋界の8大タイトル戦の1つ「竜王戦」について解説しました。
その他のタイトル戦の仕組みや、タイトル戦について知っておきたい知識を別の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください!
8大タイトル戦について知る!