将棋の8大タイトル戦の序列や永世称号の仕組みを解説

この記事では、将棋界の8大タイトル戦の序列(ランク)と、永世称号の仕組みを解説します。
最後まで読めば、将棋のタイトル戦のニュースをより楽しめるようになります。それでは始めましょう!
将棋界の8大タイトル戦とは
将棋のプロ棋士が参加する大会を棋戦(きせん)といいます。棋戦の中でも特に格式が高い8つの大会を「タイトル戦」とよびます。
タイトル戦で優勝すると、そのタイトルの名前で呼ばれるようになります。
たとえば、2021年11月に「竜王戦」で優勝した藤井聡太先生は、肩書が藤井聡太竜王(四冠)になりました。この「竜王」の部分がタイトルです。
現在、将棋界には以下8つのタイトル戦があります。それぞれの保持者は以下のとおり。
タイトル名 | 保持者 |
---|---|
竜王(りゅうおう) | 藤井聡太 |
名人(めいじん) | 渡辺明 |
王位(おうい) | 藤井聡太 |
叡王(えいおう) | 藤井聡太 |
王座(おうざ) | 永瀬拓矢 |
棋王(きおう) | 藤井聡太 |
王将(おうしょう) | 藤井聡太 |
棋聖(きせい) | 藤井聡太 |
8つのタイトルのうち、6つを藤井聡太先生が所持しています。(2023年4月1日現在)
1人の棋士が同時に6つのタイトルを持つのは、羽生善治先生(1994年に達成)以来2人目。とてつもない記録です。
タイトル戦の序列(ランク)
8大タイトル戦の序列は以下です。
タイトル戦の序列は契約金によって決まります。契約金とは、賞金や対局料など、スポンサー(主に新聞社)から日本将棋連盟に支払われる金額の総額です。
最も序列が高いタイトルは「竜王」。優勝賞金は将棋界で最高額の4,400万円です。
しかし「竜王」と並んで「名人」も、江戸時代の家元制度に由来する伝統と格式のあるタイトルです。
プロ棋士の中では名人戦(順位戦)は特別という意識が強く、昭和末期に竜王戦が発足した時期には「名人よりも上のタイトル戦などありえない」と難色を示す有力棋士も多かったようです。
また、古くからの将棋ファンも「名人こそ最高のタイトルだ」という感情を持つ人は多いです。
そのため、将棋界では「竜王が序列最高位だけど、竜王と名人の2つが8大タイトルの中で別格だよね」という考え方がメジャーです。
8大タイトル戦の永世称号
同じタイトルを一定数獲得した棋士は、引退後もそのタイトルを名乗る資格を得ます。これを「永世称号」といいます。スポーツの世界の「殿堂入り」のイメージに近いです。
下表は、各タイトルの永世称号の名前と獲得条件をまとめたものです。
タイトル名 | 永世称号名 | 条件 |
---|---|---|
竜王 | 永世竜王 | 連続5期か通算7期 |
名人 | 永世名人 | 通算5期 |
王位 | 永世王位 | 連続5期か通算10期 |
王座 | 名誉王座 | 連続5期か通算10期 |
棋王 | 永世棋王 | 連続5期 |
叡王 | 規定なし | ー |
王将 | 永世王将 | 通算10期 |
棋聖 | 永世棋聖 | 通算5期 |
このように条件はタイトルによってバラバラ。どれも獲得するのは至難の業です。
なお「永世名人」だけは、江戸時代の名人たちに続いて「○○世名人」と呼ばれます。(例:谷川浩司十七世名人)
羽生善治先生は、永世称号の規定がある7つのタイトルすべてで永世称号を獲得(いわゆる永世七冠)され、それらの功績を称えられて国民栄誉賞を受賞されました。
おわりに
今回は8大タイトル戦の序列についてお話しました。各タイトル戦の仕組みや楽しみ方は、それぞれ記事にしています。ぜひ他の記事も読んでください!
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