8大タイトル戦

将棋の名人戦、順位戦ってどんな棋戦?仕組みや見どころを解説!

将棋たのしもう!編集部

この記事では、将棋界で最も伝統あるタイトル「名人戦」の仕組みについて解説します。

見どころや、過去の名勝負も紹介。最後まで読めば、名人戦についてちょっとくわしくなれます。

それでは、始めましょう。

名人戦、順位戦の基本データ

まずは名人戦の概要を紹介します。

名称名人戦
主催朝日新聞社、毎日新聞社
保持者藤井 聡太
対戦方式7番勝負
持ち時間:9時間(2日制)
予選方式順位戦(リーグ戦)

名人戦は、江戸時代の家元制度に由来する、将棋界で最も歴史のあるタイトル戦です。(序列は竜王戦に次ぐ2位とされています)

また、序列1位の「竜王」とならび、将棋界の中で別格のタイトルとされています。(序列の話は以下の記事でくわしく解説しています)

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例年4~6月にタイトル保持者と挑戦者による7番勝負が行われ、先に4勝したほうが優勝となり、それから1年間「名人」を名乗ることができます。

2023年4月に開幕する第81期名人戦七番勝負では、ついに藤井聡太先生が名人に挑戦します。藤井先生が七冠を獲得するのか、渡辺名人が維持を見せるのか、目が離れませんね。

→2023年6月1日、藤井聡太六冠が4勝1敗で渡辺明名人を破り、史上最年少で名人を獲得しました。これで羽生善治九段以来、27年ぶりの七冠達成となりました。

挑戦者の決め方

名人戦は「順位戦」と呼ばれるリーグ戦によって挑戦者を決めます。

順位戦には以下の5クラスがあります。

クラス定員昇級
A級10名(優勝者が名人挑戦)
B級1組13名上位2名
B級2組なし(26名)上位3名
C級1組なし(33名)上位3名
C級2組なし(56名)上位3名

※B級2組、C級1組、C級2組には定員がありません。カッコ内は第81期(2022年度)の数を記載

デビューした棋士は、1番下の「C級2組」からスタートします。

1年間でリーグ戦を戦い、各クラスの成績優秀者が1つ上のクラスにあがります。昇級を重ね、最高峰の「A級順位戦」で優勝すると挑戦者になれるのです

どんなに強い棋士でも必ず1クラスずつしか昇級できないため、名人挑戦は最低でも5年かかります

他のタイトル戦は、制度上はデビュー1年目の棋士でも挑戦できる(実際に挑戦した例もある)ので、名人は特別なタイトルと言えるでしょう。

降級がドラマを生む

先ほどの表には書きませんでしたが、順位戦には降級(下のクラスに落ちること)があります。

クラス降級
A級下位2名
B級1組下位3名
B級2組降級点2回
C級1組降級点2回
C級2組降級点3回

A級とB級1組は、成績が悪いと一発で下のクラスに落ちます。本当に厳しいです。

順位戦の所属クラスは、棋士の名誉や収入に大きく影響します。そのため、文字通り「棋士人生をかけた戦い」が繰り広げられ、ファンの心を打ちます。

特に、長くA級に在籍した棋士が降級した際などは、ニュースでも大きく扱われます。

順位がドラマを生む

順位戦は、開幕する際に、前期までの成績をもとに「順位」がつきます。

シーズンが終わって、もし複数の棋士の成績が並んだ場合は、順位が高い棋士が優先されるという仕組みがあります。

例として、第81期順位戦を見てみましょう。これはC級1組の結果です。(抜粋)

C級1組からB級2組の昇級枠は3名。でも9勝1敗で4人が並んでしまいました。

この場合、開幕時の順位が最も低かった伊藤匠五段が昇級できないこととなります。

3人目の昇級者だった渡辺和史五段と伊藤匠五段の順位差はわずか2つ。しかもこれは前のシーズンで一緒にC級2組から上がってきたときの成績差によるものです。

今の話は降級のときも同じ。同じ第81期のB級1組順位戦を例に紹介します。

B級1組は下位3名が降級します。まず2勝10敗で成績が最も悪い郷田真隆九段が降級。

降級はあと2人ですが、4勝8敗で3人が並んでいます。この場合、開幕時の順位が最も高かった屋敷伸之九段が残留を逃れます。

仮に昇級が決まっていたり、逆に昇級しないことが決まっているシーズンでも、次のシーズンで順位差が活きるかもしれないので、棋士は1つでも順位を上げるべく全ての対局を頑張ります。

このように順位戦には1局としてムダな将棋がありません

名人戦・順位戦の詳細がわかるサイト、SNS

名人戦の詳細な情報は、主催者のWebサイトやSNSで見ることができますよ。ぜひ以下も参考にしてください!

名人戦の豆知識、過去の名勝負

名人戦は8大タイトルで最も歴史が長く、とても記事の中ではその魅力を語りきれません。ここでは観る将向けに、少しだけ名人戦の豆知識や名勝負についてお話します。

将棋史に名を刻む「永世名人」

名人を通算5期獲得すると、現役引退後に「永世名人」を名乗れるようになります。名乗り方は「●●世名人」。昭和初期に実力制名人の仕組みが始まってから、永世名人の資格を得たのは以下の6名。

十四世名人木村 義雄(きむら よしお)
十五世名人大山 康晴(おおやま やすはる)
十六世名人中原 誠(なかはら まこと)
十七世名人谷川 浩司(たにがわ こうじ)
十八世名人森内 俊之(もりうち としゆき)
十九世名人羽生 善治(はぶ よしはる)

永世名人は、江戸時代の家元制度のころから続く名人の系譜を継ぎ、将棋界に永遠に名を刻むことになります。

羽生VS森内の激闘

2002年~2015年は羽生善治先生、森内俊之先生の激闘の時代でした。なんと14年間、この2人のどちらかが名人を取り続けたのです。

他の棋士も何度か挑戦者には名乗りをあげたものの、2人の牙城は崩せませんでした。

それが2016年度(第74期)に佐藤天彦八段が羽生善治名人を4勝1敗で破り名人に。ここが一つの時代の転換点になりました。

大山康晴十五世名人

「名人」と言えば昭和の巨匠、大山康晴十五世名人を思い浮かべるファンの方も多いでしょう。

大山先生は何と通算で18期の名人を獲得。(5連覇のあと、少し途切れて13連覇)自民党もびっくりの長期政権です。

数ある将棋界の記録の中でも、これは破るのは難しいだろうと言われています。

大山先生の逸話は数々の本が出ています。興味がある方はぜひ読んでみてください。

まとめ

今回は、将棋界の8大タイトルの1つ「名人戦」についてお話しました。

他のタイトル戦のみどころも記事にしています。良かったらぜひ読んでくださいね!

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